
KATRINの主分光器
KATRIN main spectrometer
電圧の坂を越えた電子だけを通し、1 eVほどの差を選り分ける真空の容器
- 年代
- 2006年(容器の搬入)
- 場所
- カールスルーエ(ドイツ)
しくみと歴史
ドイツのカールスルーエ工科大学(KIT)の北キャンパスにある、ニュートリノの質量を量る実験KATRINの中心の装置である。ステンレスの容器は長さ23.2 m、内径9.8 m、容積1240 m³で、中は10⁻¹¹ mbarの超高真空に保たれる。総説は、世界最大の超高真空の容器と書いている。
容器全体を約−18.6 kVの電圧にかけ、三重水素の崩壊で出た電子のうち、この電圧の坂を越えられるものだけを検出器へ通す。設計では、磁場は検出器側の端の超伝導磁石のところで6 T、中央の分析面では0.3 mTと、2万分の1まで弱まる。そのあいだに、電子の進む向きが磁力線にそろう。この仕組みをMAC-Eフィルターと呼ぶ。容器のまわりには大きな空芯のコイルが並び、中央の磁場の形を整える。内側の壁には針金の電極が張られ、壁から出る遅い電子を押し返す。
容器は2006年11月に、ライン川の岸から構内までの最後の7 kmを運ばれた。2019年から2025年の末まで、この分光器で1000日分の測定を重ねた。
この器具が出てくる公式
出典
- M. Aker et al. (KATRIN Collaboration), The design, construction, and commissioning of the KATRIN experiment, Journal of Instrumentation 16 (2021), T08015
- J. A. Formaggio, A. L. C. de Gouvêa, R. G. H. Robertson, Direct measurements of neutrino mass, Physics Reports 914 (2021), 1-54
- KATRIN Collaboration: Media gallery