うるう秒、2027年5月で終わりに 国際度量衡総会がずれの上限を1時間に

国際度量衡総会が、2027年5月20日からうるう秒を入れず、地球の自転とのずれを3600秒まで許すと決めた。1日が100年で1.8ミリ秒ずつ延びるなら、ずれは年数の2乗で積み重なり、上限に届くのは千年ほど先になる。

微分積分学の基本定理キッブルバランスの式(キログラムの定義)

ニュース

うるう秒は、2027年5月20日から入らなくなる。2026年10月13〜15日にフランスのベルサイユで開かれた第28回国際度量衡総会(CGPM)が、協定世界時(UTC)をこの日から途切れない時刻にすると決議した。地球の自転で決まる世界時(UT1)とのずれは、3600秒(1時間)まで許すことにした。決議は、これで数世紀にわたってUTCが途切れないとしている。

1秒を足してきた54年

UTCは原子時計の秒で進む。一方、1日の長さは地球の自転で決まり、少しずつ揺らぎながら延びてきた。2つのずれが広がらないように、UTCに1秒を足し引きして合わせるのがうるう秒である。産業技術総合研究所によると、1972年から27回入り、すべて1秒を足す向きだった。最後に入ったのは2016年の大みそかで、国際地球回転・基準系事業(IERS)は2026年12月末にも入れないと告げている。2016年のものが、最後のうるう秒になりそうだ。

決議は、IoTやスマートグリッドが広がった今、うるう秒を入れるたびにシステムが誤作動するおそれが増していて、1秒を引く「負のうるう秒」ならなおさらだと書く。2025年3月に地球の自転の専門家らが集まった会合は、負のうるう秒が要る確率が急に高まり、2035年までに30%に達すると見積もった。負のうるう秒は一度も実施されたことがなく、時刻の同期に頼る業界が備える費用は、2000年問題の対策に近いという。2022年の前回の総会は「2035年までに上限を広げる」と決めていたが、今回それを前倒しした。

ずれは年数の2乗で積み重なる

1時間の余裕は、どのくらいもつのか。1日の長さが86400秒よりミリ秒長いと、ずれは1日にミリ秒ずつたまる。1日の長さが一定の割合で延びていくなら、世紀でたまるずれは、延び方を時間で積分して

となる。36525は1世紀の日数である。速さをためると道のりになる、という微分積分学の基本定理の使い方そのもので、ずれは年数の2乗で増える。

スティーヴンソン、モリソン、ホーエンカークは2016年の論文で、紀元前720年からの日食や月食と、1600年以降の星食の記録を分析した。1日の長さは、平均して100年に1.8ミリ秒の割合で延びてきたという。潮汐による摩擦から予想される2.3ミリ秒より小さい値である。、とおくと、秒になる。これが3600秒に届くのは世紀、つまり千年ほど先である(当サイトの計算)。を0.5〜1ミリ秒にしても990〜1020年ほどで、大きくは変わらない。

係数の32.9は、NASAが日食の計算に使う式とほぼ同じである。原子時計の時刻と自転による時刻の差を、NASAは紀元前500年ごろより前と2150年より後について秒で見積もる。は1820年から数えた世紀数である。

ただ、1日の長さは数十年の周期でも揺らぐ。1972年から2016年までの45年で27秒足したことから、この間の1日は平均で1.6ミリ秒ほど長かったことになる。この値をに入れても、上限に届くのは960年ほど先である。逆に1日が86400秒より短い状態が続くと、ずれは逆向きにたまる。負のうるう秒が要るのは、このときである。

秒の定義と月の時系も

総会は、秒の新しい定義の案を2030年の第29回総会に出せるよう、国際度量衡委員会に準備を求めた。候補は光時計で、最も良いものは今の定義による実現を最大100倍上回る精度に達している。ただ、どの原子を使うかはまだ合意できていない。セシウム133原子の遷移の周波数を使う今の定義は、1967年の総会で決まった。キログラムなど4つの基本単位は、2018年の総会で基礎物理定数による定義に改められている。

月で使う基準の時系についても決議があった。月では重力が弱いぶん、時計が地球よりわずかに速く進む。総会は、月の計画を先に進める宇宙機関の結果を見ながら、国際度量衡委員会が月の時系の定義を検討するよう勧告した。

出典

  1. 国際度量衡局(BIPM)「CGPM Resolution 5 (2026): On the technical actions needed to ensure the continuity of UTC」(第28回国際度量衡総会・2026年10月13〜15日)
  2. 国際度量衡局(BIPM)「CGPM Resolution 4 (2026): On the future definition of the second」
  3. 国際度量衡局(BIPM)「CGPM Resolution 6 (2026): On the definition of an international lunar reference time scale and its traceability to UTC」
  4. 産業技術総合研究所 計量標準総合センター「第28回国際度量衡総会(CGPM)開催」(うるう秒の実施の回数・月の時系)
  5. 国際地球回転・基準系事業(IERS)「Bulletin C」第72号(2026年7月6日・UTC-TAI = -37 s は2017年1月1日から)
  6. F. R. Stephenson, L. V. Morrison, C. Y. Hohenkerk「Measurement of the Earth's rotation: 720 BC to AD 2015」Proceedings of the Royal Society A 472(2196), 20160404(2016年12月)
  7. F. Espenak(NASAゴダード宇宙飛行センター)「Polynomial Expressions for Delta T」(EspenakとMeeus『Five Millennium Canon of Solar Eclipses』より)

姉妹サイト

株式会社Game が運営するメディアです。