
トリウム229入りの結晶X2
229Th-doped CaF2 crystal X2
PTBやJILAの測定と、ウィーンの原子核時計に使われた結晶
- 年代
- 2023年(初めてレーザーに応えた)
- 場所
- ウィーン工科大学(ウィーン)
しくみと歴史
ウィーン工科大学で育てた、トリウム229を入れたフッ化カルシウムの単結晶で、「X2」と呼ばれる。JILAの論文によると、もとの結晶は直径3.2 mm、長さ10 mmの円柱で、1 cm³あたり5×10¹⁸個という、それまでで最も高い濃度でトリウム229を含む。1 mgに満たないトリウム229を種結晶のくぼみに入れてから上の部分を溶かし、ゆっくり冷やして単結晶に育てた。トリウムの放射線で結晶からフッ素が抜け、紫外線を通しにくくなるため、あとからフッ素を補って透明さを取り戻している。
この結晶から切り出したかけらは、2023年11月にPTBで初めてレーザーに応えたほか、SPring-8でX線を当ててトリウムの原子核の状態を操る実験にも使われた。2024年に発表したJILAの測定には1.8×0.7×1.4 mmのかけらが、2026年10月にウィーンで動いた原子核時計には直径3.1 mm、長さ4.2 mmのかけらが使われている。
この器具が出てくる公式
出典
- C. Zhang et al., Frequency ratio of the 229mTh nuclear isomeric transition and the 87Sr atomic clock, Nature 633 (2024), 63-70(arXiv:2406.18719 の Methods)
- L. Toscani De Col et al., A thorium-229 optical nuclear clock with feedback loop, Nature 658 (2026), 897-902(Methods)
- TU Wien: Atomic Nucleus Excited with Laser: A Breakthrough after Decades(2024年4月29日)