5日で1%が38%になった
1%が38%になるまで、5日しかかからなかった。2022年11月、フランクルの予想と呼ばれる集合の問題で、証明できる割合がそれだけ跳ね上がった。そして今も、38%を少し超えたあたりで止まっている。
予想の中身は、紙と鉛筆で試せる。集合をいくつか集めて「族」を作り、どの2つの和集合もまた族に入るようにする。たとえば、、、である。予想によれば、空集合だけの族を除いて、このような族には半分以上の集合に入っている要素が必ずある。この例なら、要素1と要素2が4つのうち3つの集合に入っている。
簡単そうに見えて、半分どころか1%すら示せなかった。2013年の総説には、1%以上の集合に入る要素がどんな族にもある、という弱めた形でさえ証明にはほど遠いとある。
破ったのは、2015年から数学を離れていた研究者である。2022年10月半ば、ジャスティン・ギルマーは友人の結婚式に出るため、カリフォルニアからニューヨークへ飛んだ。東海岸にいるあいだに、ラトガース大学の恩師マイケル・サックスを訪ねている。Quanta Magazineの取材によると、昼食の席で数学の話は出なかった。ギルマーは博士号を取った2015年に大学に残らないと決め、プログラミングを独学して、Googleで機械学習の研究をしていた。
その日は晴れていた。キャンパスを歩くと、2013年の記憶がよみがえる。1年近く同じ道を歩きながらこの予想を考え続け、なぜ難しいのかが分かっただけで終わった年だ。サックスの部屋で問題を持ち出したときには、追い出されかけた。「ジャスティン、きみのせいでまたこの問題を考えることになる。それはごめんだ」と言われたという。

訪問のあと、思いがけず新しい考えが浮かぶ。100個の集合から2つを選ぶ組は4,950通りある。どの要素もめったに現れないのに、4,950通りの和集合がどうして100個の集合に収まるのか。ギルマーはこの問いに、シャノンの情報エントロピーで答えようとした。
Googleの仕事を終えた夜と週末に、ギルマーは考え続けた。手元には情報理論の教科書を置いていた。「すごい結果を出す人が『Elements of Information Theory』の第2章を引き直すはずはないと思うだろう。でも、私は引いた」。

2022年11月16日、ギルマーは論文をarXivに投稿した。示したのは1%である。論文には、0.01という定数は詰めていないこと、鍵の補題を厳密にすればまで届くと見込んでいることも書いてある。
速かったのは、ここからだ。5日後の11月21日、3本の論文が4時間10分ほどのあいだにarXivに投稿され、どれも同じ38%まで届いた。1ギルマーの投稿から、時刻を世界時で並べる。
- 11月16日17時17分、ギルマー(1%)
- 11月21日14時42分、ウィル・ソーウィン(38%)
- 11月21日18時04分、ザカリー・チェイスとシャハル・ロヴェット(38%)
- 11月21日18時53分、ライアン・アルワイス、ブライス・ファン、マーク・セルケ(38%)
23日にはルーク・ペボディも続く。Quanta Magazineによると、数学者たちは先を急ぐ前に、まず同じことを問うたという。この人はいったい誰なのか、と。
当のギルマーが38%まで進まなかった理由は、拍子抜けするほど単純だった。「少し腕がなまっていて、正直に言うと行き詰まっていた」。
では、なぜ38%なのか。は黄金比を使うとと書ける。集合の問題に黄金比が現れる理由と、38%で止まる理由は、同じ1つの式から出てくる。
パリ発モントリオール行きの予想
「和集合で閉じた族の予想はよく知られている。由来と答えを別にすれば」。1987年、数学者ピーター・ウィンクラーはこう書いた。本人の知らないうちに活字になった手紙の一節である。
由来のほうは、今では本人の話が残っている。ヘニング・ブルーンとオリバー・シャウトが2013年の総説で、ピーター・フランクルから直接聞いた話として伝えている。1979年の終わり、フランクルは有限集合のトレースを研究していて、ある主張が成り立てばいくつもの評価を改良できると気づいた。パリからモントリオールへ向かう途中で、それを予想の形にまとめる。旅の途中でロナルド・グラハムに話すと、グラハムが広く伝えた。
活字になった最初は、1984年にカナダのバンフで開かれた研究集会の報告集で、ドワイト・ダフスが「P.フランクルの問題」として短く報告したものだという。報告集の刊行は1985年である。Quanta Magazineは1979年の論文に載ったと書いているが、総説の記述とは合わない。多くの著者は、フランクル自身の1995年の解説に従って起源を1979年とする。もっとも、フランクルが最初だったとは言い切れない。イゴール・バラ、ベーラ・ボロバシュ、トム・エクルズは2013年の論文でこれを「民間伝承の予想」と呼び、1970年代半ばにはよく知られていたと書いた。総説の2人も、この食い違いには決着をつけていない。
フランクルは1953年にハンガリーで生まれ、1971年の国際数学オリンピックで金メダルを取り、1979年にフランスへ亡命した。予想を立てたのは、その亡命の年だった。1988年から日本に住み、数学者と大道芸人の2つの肩書きで活動している。

フランクルのジャグリングは、1973年のグラハムとの出会いから始まった。公式サイトによると、手ほどきを受けて「私もこんな面白い数学者になりたい」と思ったという。その6年後に予想を聞いて広めたのが、同じグラハムである。

研究論文が出始めるのは1989年からで、特別な場合は次々に片づいた。要素が1つだけの集合を含む族、要素が12個以下の族、集合が50個以下の族では、予想は正しい。
ところが、何の条件もない族となると話が違う。1994年にエマニュエル・ニルが示した下限は、集合の数をとして個だった。証明は例題4で追えるほど短いが、割合にすると約にすぎない。100個の族なら14.9%、1,024個で10.0%、100万個で5.0%と、族が大きいほど下がっていく。1999年にPiotr Wójcikが係数を改良しても、この形は変わらなかった。どんな大きさの族にも通じる定数は、1つも知られていなかったのである。
2016年には、ティモシー・ガワーズが自分のブログでこの予想を公開の共同研究Polymathの題材に挙げた。証明には至らなかったが、ギルマーが励まされたのは、このときの議論だった。
和集合のエントロピーで矛盾を作る
証明の筋はこうだ。どの要素もまれにしか現れない族があるとすると、2つの集合の和集合のほうが、元の集合より情報が多くなる。ところが和集合で閉じた族では、和集合は族の中に収まるので、情報は増えない。この矛盾を式で書く。
有限集合の部分集合を集めた族が和集合で閉じていて、空でない集合を1つ以上含むとする。空集合がに入っていてもよく、入っていれば割合の分母に数える。このとき、ある要素は以上の割合の集合に入る。2022年に4組が示したこの定理を、チェイスとロヴェットが3ページの論文で示した道筋で追う。
から独立に等確率で集合、を選び、和集合をと書く。要素がに入っていれば、入っていなければと書き、とする。はシャノンのエントロピーで、は確率で1になるビットのエントロピーである。ただしとする。は黄金比である。
-
はの集合だから、とりうる値は個しかない。エントロピーは等確率のときに最大で、はその等確率である
-
要素を1つずつ明かしていくと、エントロピーは連鎖律で足し算に分かれる
-
も同じように分かれる。はとから決まるので、条件をに増やすと、エントロピーは減るか変わらない
-
を固定する。過去のもとでとなる確率を、過去のもとでとなる確率をとする。とは独立で同じ分布に従う。和集合の番目が0になるのはもも0のときだけだから
-
要になるのは、で成り立つ次の不等式である。証明はこの章の後半に回す
-
、を入れて平均をとる。独立だから積の期待値は期待値の積になり、とおくと、である
-
ここで、どの要素も未満の割合の集合にしか入らないと仮定する。だから、係数は1を超える
-
手順2から7をつなぐ。ならで、どれかのは正だから
手順1と矛盾する。残るの場合は、ただ1つの集合が空でないので、その要素が100%の集合に入る。どちらの場合も、以上の割合の集合に入る要素がある。
手順5の不等式は、両辺をで割ってとおくと、になる。チェイスとロヴェットは、比が内側で1未満、端で1になることから最小点は内側にあるとし、そこで偏微分を0とおいた。は単調に減るので、が出る。残るのは1変数の不等式である。
この形には前史があり、ラヴィ・ボッパナが1980年代に使っていた。ボッパナが2023年に公開した短い証明では、を3回微分する。分子は負の根を持つ3次式になるので、のの零点は高々2個である。ロルの定理を3回使うと、の零点はに重複を数えて高々5個で、の重根、の重根、の単根で尽きる。は符号を変えず、0に近いで正だから、全体でとなる。ここで省いたのは、3回の微分の計算と、端での比の値や根の重複度を確かめる計算である。
ギルマーの最初の論文は、手順5と6にあたる所を粗い場合分けで評価して、と0.01を得ていた。2022年の4組が差し替えたのは、この1か所である。つまり、発想そのものはギルマーの手順1から4にある。アルワイスは「要素を1つずつ明かして、得られる情報の量を見ていくアイデアは実に巧妙で、そこが証明の中心だ」と語った。
黄金比が現れる一歩
要素どうしが独立に確率で入るように集合を選ぶ。ギルマーの論文の例1で、、となる。とおいて、2つのエントロピーがそろうを手で求める。
-
要素がに入らない確率をとする
-
和集合に入らないのは両方に入らないとき
-
は左右対称である
-
エントロピーがそろう条件を書く
-
では2つ目だけが残る
-
移項して2次方程式にする
-
解の公式で正の解をとる
-
を使ってに戻す
-
比に入れる
を書き直すとになる。線分を長さとに分けたとき、全体と長い部分の比が、長い部分と短い部分の比に等しいという式で、黄金比の定義そのものだ。
太い線が和集合の側のエントロピー、破線が元の集合の側である。では和集合ののほうが大きく、ではと逆になる。入れ替わるのがで、ここから右では手順1と矛盾しなくなる。
ブルームフィルターの併合で測る
Webのキャッシュサーバーどうしが、持っているページの一覧を交換する場面を考える。一覧を丸ごと送る代わりに、ブルームフィルターと呼ぶ0と1の列に縮めて送る方法がある。要素ごとにハッシュ関数で決まる数か所のビットを1にしておくデータ構造で、誤検知はあるが見落としは出ない。
同じ長さで同じハッシュ関数のフィルターなら、ビットごとのORをとるだけで和集合のフィルターができる。アンドレイ・ブローダーとマイケル・ミッツェンマッハーの解説にある性質だ。予想がフィルターの設計に使われているわけではないが、ここに証明と同じ形の式が現れる。
2本の中身が重ならなければ、1の割合がのフィルターを併合すると、1の割合はほぼになる。ミッツェンマッハーは2002年の論文で、ビットのフィルターは算術符号でビットほどまで圧縮できると示した。
だから、併合の前後で圧縮後のサイズを比べると、との比較になる。100万ビットのフィルターを当サイトで計算すると、次のようになる。
- 1の割合が0.2なら、圧縮後の1本は722 kbit、併合後は943 kbitで、31%増える。
- 1の割合が0.382なら、どちらも959 kbitで変わらない。
- 1の割合が0.5なら、1本は1,000 kbitでほとんど縮まず、併合後は811 kbitと19%減る。
誤検知率を最も低くする標準の設定では、1の割合はちょうど0.5になる。そのまま併合すれば1の割合は0.75まで上がり、圧縮はよく効くが、誤検知は増える。自分のフィルターが圧縮後に増える側か減る側かは、1の割合を0.382と比べれば分かる。ただし、中身が重なるほど1の割合の上がり方は小さくなるので、この境目は重なりが無いときの目安である。
38%と50%を手で確かめる
例題 1基本足りない和集合を足す
集合、、がある。
(1)和集合を足して、和集合で閉じた族を作れ。
(2)各要素が入っている集合の割合を求め、予想が成り立つことを確かめよ。
解説を見る
(1)2つずつ和集合をとると、、が出る。これらの和集合をとっても新しい集合は出ないので、族は次の6個である。
(2)要素ごとに数える。
要素2と要素3が半分を超えるので、予想は成り立つ。
例題 2入試要素が1つの集合があるとき
和集合で閉じた族に、要素が1つだけの集合が入っている。
(1)を含まないの集合に、を対応させる。異なるは異なる集合に移ることを示せ。
(2)はの半分以上の集合に入ることを示せ。
(3)1からまでの整数の部分集合すべてを集めた族では、どの要素の割合もちょうど1/2になることを示せ。
解説を見る
(1)、でなら、両辺からを除いてとなる。
(2)は和集合だからに入り、を含む。(1)から、を含む集合は、を含まない集合と同じ数以上ある。
(3)この族では(1)の対応が、を含まない集合とを含む集合の1対1の対応になる。
どの要素もちょうど半分なので、予想の1/2はこれ以上大きくできない。
例題 3入試黄金比と確率
とする。
(1)を示せ。
(2)のとき、とを小数第3位まで求めて比べよ。、、、を使ってよい。
解説を見る
(1)を2乗する。
(2)である。
和集合の側が約1.5倍大きい。が0.382より小さいので、この向きになる。
例題 4難関ニルの下限を導く
空集合を含み、和集合で閉じた族の集合の数を()とする。空でないどの集合とも交わる要素の集まりのうち、どの要素を除いてもこの性質がなくなるものをとる。
(1)ごとに、となるがあることを示せ。
(2)がの部分集合すべてになることを示し、を導け。
(3)個以上の集合に入る要素があることを示せ。なら少なくとも何個か。
解説を見る
(1)からを除くと、交わらない空でない集合がに現れる。はとは交わるので、共通部分はだけである。
(2)をとる。ごとに(1)の集合をとって和集合を作ると、の集合でとの共通部分がになる。が空なら空集合をとる。部分集合の数だけ異なる集合があるので、次が成り立つ。
(3)空でない個の集合は、どれもの要素を含む。の要素ごとに振り分けると、ある要素は次の個数以上の集合に入る。
ならなので、103個以上である。割合にすると約10.1%で、が増えるとさらに下がる。
例題 5大学閉じていない族のエントロピー
族から独立に等確率で、を選ぶ。
(1)のとき、とを求め、が和集合で閉じていないことをエントロピーから説明せよ。
(2)をの部分集合のうち要素が2個以下の7個とする。各要素の割合を求め、を確かめよ。
(3)(2)でとなるのはなぜか。証明の手順7に照らして説明せよ。
解説を見る
(1)である。は、が確率1/4ずつ、が確率1/2をとる。
値がに収まるならを超えないので、は閉じていない。
(2)どの要素も3個の集合に入るので、割合はである。和集合の確率は、空集合が1/49、要素1個の集合が3/49ずつ、要素2個の集合が9/49ずつ、が12/49になる。
(3)はより大きいので、手順7の仮定が成り立たず、は保証されない。実際で、が外に出るからは閉じていないのに、エントロピーの大小では見分けられない。38.2%を超えると、この方法が効かなくなる例である。
38.2%の壁は左右対称
なぜ同じ方法では38.2%を超えられないのか。集合の数を数えると、左右対称の山が見えてくる。要素から個を選ぶ選び方の数は、対数をとるとに近い。だから大きさの集合と大きさの集合は同じ数だけある。ところが大きさの集合を2つでたらめに選ぶと、和集合の大きさはおよそになる。山の左の斜面から右の斜面へ、同じ高さのまま移るわけだ。
チェイスとロヴェットはこの形を使って、ほとんど和集合で閉じた族を作った。大きさの集合と、大きさ以上の集合を全部集める。でたらめに選んだ2つの和集合は、ほぼ確実にこの族に入る。後者の集合は前者よりずっと少ないので、どの要素もほどの割合の集合にしか入らない。2022年の証明は、ほとんどの組で閉じた族にもそのまま通る。だから、この方法のままでは38.2%の先へ進めない。
では、先へ進むにはどうするか。ソーウィンが論文の後半で示した案は、2つの集合を独立に選ぶのをやめ、相関をもたせた組も混ぜるものだった。Stijn Cambieの説明によると、この組を上の族に使うと、和集合の大きさはおよそに寄り、族の外に出る。ほとんどの組では閉じていても、狙った組なら閉じていないことを見抜けるのである。
50%への道は、まだ見えていない。ギルマーが論文で50%につながる形として書いた別の予想は、投稿から6日のうちにソーウィンとデイヴィッド・エリスが反例を示して崩れた。2023年2月6日には「予想の証明」と題する論文がarXiv:2302.03484として投稿されたが、著者は2日後に証明の誤りを認めて取り下げている。
50%を割る族を探す
5要素の部分集合32個を、要素の数ごとの段に並べた。集合をたたくと族に加わり、足りない和集合が、もとの2つから線を引かれて現れる。塗りつぶしがたたいた集合、太い枠が自動で加わった集合である。棒は各要素が入っている集合の割合で、いちばん高い棒を塗りつぶした。
どの棒も50%の線より下にできるか、試してみるとよい。要素を区別して5要素の族をすべて数えると2,771,103通りあり、空集合だけの族を除けば、最も多い要素が50%を割る族は1つもなかった。ちょうど50%になるのは202通りで、「32個すべて」を押すとその例が見られる。この数は当サイトの計算で、文献では要素12個までの族で予想が確かめられている。2
ビット列のORが現れる所
- 数学 極値組合せ論で、族から作れる和集合の種類の数を下から押さえるときに使う。2つの集合の和集合を全部集めた族をと書くと、どの要素も1%以下しか現れない族では、ギルマーの定理からとなる。Cambieの整理によると、ソーウィンの改良で指数は1.74まで上がる。
- 情報科学 確率的なブール式の増幅で、必要な式の大きさを下から押さえるときに使う。ボッパナは1985年の論文で2変数のエントロピー不等式を計算機の助けを借りて示し、これを下界に結びつけた。はその特別な場合で、30年以上あとに集合の問題へ戻ってきた。
- 心理学 学習者の理解状態を集合で表す知識空間の理論で、ありうる状態の全体をモデルにするときに使う。知識空間は空集合を含み和集合で閉じた族で、要素が問題や項目にあたる。教育支援システムALEKSの研究者ジェフリー・マタヨシの2020年の論文によると、1項目ずつたどれる「well-graded」な族なら、空集合を含むときに予想はすぐ成り立つ。
0.38271の先
- 2022〜2023年 南開大学のLei Yuと、韓国の基礎科学研究院のStijn Cambie:ソーウィンの案を計算できる形にした。独立な組と相関のある組を重みで混ぜ、とを比べる。数値計算で下限はおよそ0.38234になり、Cambieはで0.3823455を報告した。出典はarXiv:2212.00658とarXiv:2212.12500。
- 2023年 イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校のJingbo Liu:補助の確率変数で条件づけると独立になる組を使い、0.3823455をさらに超えられることを解析で示した。9次元の最適化を数値で解いて得た構造を仮定すると、下限は約0.38271になる。後者は仮定つきの値で、今のところ確かめた範囲で最も大きい。出典はarXiv:2306.08824。
- 2025年 八森正泰(筑波大学)と柏原賢二(東京大学):補集合をとって共通部分で閉じた形に言い換えた予想の側で、下に閉じたイデアル族を調べた。、つまり要素の平均の割合が1/2以下になることを示し、証明をLean 4で検証している。出典はarXiv:2504.13454。
- 2026年 テルアビブ大学のWojciech Samotij:7月の総説で、かつならという定理を、組合せ論のエントロピー法の代表例として紹介した。予想そのものについては「今日まで未解決」と書いている。2026年10月30日に確かめた範囲でも、50%が証明されたという確かな報告は見つからない。出典はarXiv:2607.24414。
参考文献
- J. Gilmer, "A constant lower bound for the union-closed sets conjecture", arXiv:2211.09055 (2022).
- W. Sawin, "An improved lower bound for the union-closed set conjecture", arXiv:2211.11504 (2022); Z. Chase, S. Lovett, "Approximate union closed conjecture", arXiv:2211.11689 (2022); R. Alweiss, B. Huang, M. Sellke, "Improved lower bound for Frankl's union-closed sets conjecture", Electron. J. Combin. 31(3) (2024), P3.35 (arXiv:2211.11731, 2022); L. Pebody, "Extension of a method of Gilmer", arXiv:2211.13139 (2022); D. Ellis, "Note: a counterexample to a conjecture of Gilmer which would imply the union-closed conjecture", arXiv:2211.12401 (2022).
- R. B. Boppana, "A useful inequality for the binary entropy function", arXiv:2301.09664 (2023); R. B. Boppana, "Amplification of probabilistic Boolean formulas", 26th Annual Symposium on Foundations of Computer Science (1985), 20-29.
- H. Bruhn, O. Schaudt, "The journey of the union-closed sets conjecture", Graphs Combin. 31(6) (2015), 2043-2074 (arXiv:1309.3297, 2013); P. Frankl, "Extremal set systems", Handbook of Combinatorics vol. 2 (1995), 1293-1329; I. Balla, B. Bollobás, T. Eccles, "Union-closed families of sets", J. Combin. Theory Ser. A 120(3) (2013), 531-544; E. Knill, "Graph generated union-closed families of sets", arXiv:math/9409215 (1994); P. Wójcik, "Union-closed families of sets", Discrete Math. 199 (1999), 173-182.
- L. Yu, "Dimension-free bounds for the union-closed sets conjecture", Entropy 25(5) (2023), 767 (arXiv:2212.00658, 2022); S. Cambie, "Better bounds for the union-closed sets conjecture using the entropy approach", arXiv:2212.12500 (2022); S. Cambie, "Progress on the union-closed conjecture and offsprings in winter 2022-2023", arXiv:2306.12351 (2023); J. Liu, "Improving the lower bound for the union-closed sets conjecture via conditionally IID coupling", 58th Annual Conference on Information Sciences and Systems (2024) (arXiv:2306.08824, 2023); M. Hachimori, K. Kashiwabara, "On the averaging problem of ideal families related to Frankl's conjecture with formal proof by Lean 4", arXiv:2504.13454 (2025); W. Samotij, "Entropy methods in combinatorics", arXiv:2607.24414 (2026); R. Scandone, "A proof of the union-closed sets conjecture", arXiv:2302.03484(2023, 取り下げ).
- K. Hartnett, "Google Researcher, Long Out of Math, Cracks Devilish Problem About Sets", Quanta Magazine (3 January 2023); ピーター・フランクル公式サイト「プロフィール」、ホリプロ「ピーター・フランクル」(2026年10月30日確認); T. Gowers, "Frankl's union-closed conjecture: a possible Polymath project?", Gowers's Weblog (21 January 2016).
- M. Mitzenmacher, "Compressed Bloom filters", IEEE/ACM Trans. Netw. 10(5) (2002), 604-612; A. Broder, M. Mitzenmacher, "Network applications of Bloom filters: A survey", Internet Math. 1(4) (2004), 485-509; J. Matayoshi, "Well-graded families and the union-closed sets conjecture", Electron. J. Combin. 27(1) (2020), P1.64.
注
-
投稿の時刻はarXivの記録による。名前の原綴りはWill Sawin、Zachary Chase、Shachar Lovett、Ryan Alweiss、Brice Huang、Mark Sellke、Luke Pebodyである。3本は完全に独立ではない。ソーウィンの論文の謝辞によると、チェイスとロヴェットは要の補題をアルワイスらに頼り、ソーウィンの初版の補題には誤りがあって後の版で直した。完全に独立した証明はアルワイスらの1本だったと、ソーウィン自身が書いている。 ↩
-
集合を1つ以上含む族を、空集合が入るものも入らないものも、5要素を使いきらないものも数えた。定義どおりの総当たりと、集合を1つずつ足して閉じる方法で同じ数になった。空集合を含む族は1,385,552通りで、補集合をとると共通部分で閉じた族になり、OEISのA102896の値と一致する。 ↩