斜方投射

Oblique projectile motion

砲手は45°を知っていた。ガリレオはその理由を証明した。

斜めに投げた物体は、水平に等速、鉛直に投げ上げとして動く。最高点の高さはsin²θに、水平到達距離はsin 2θに比例し、45°で距離が最大になる。

年代
1638年(ガリレオ『新科学対話』第4日)
習う
高2・物理・様々な運動
レベル
基本(例題 4 問)
作成日
更新日
執筆・監修
佐々木 航
起源

砲手が知っていた第6点

「砲手たちの話から、大砲や臼砲で弾が最も遠くへ届くのは仰角45°のときだと、私はすでに知っていた」。1638年の『新科学対話』の第4日で、聞き手のサグレドはこう打ち明ける。砲手の言い方では、四分儀の「第6点」にあたる角度だ。そのうえでサグレドは、なぜそうなるのかを理解することは、人から聞いた知識や何度もの実験にはるかにまさる、と続けた。

ガリレオ・ガリレイは、同じ速さで撃ち出すなら45°が最も遠くへ届くことを、実験に頼らず幾何学の証明で導いていた。続く命題8は、45°より同じだけ大きい角と小さい角で撃つと、届く距離が等しくなるという定理である。語り手のサルヴィアチは、これを「おそらく経験ではまだ観察されたことのない」事実だと言う。

ガリレオは、角度ごとの値を表にまで仕上げた。正接の表を使い、45°で放物線の半分の幅を10000として計算すると、50°では9848になる。今の式でいえばで、この表はとほぼ重なる。最高点の高さの表も、45°で5000、90°で10000と、に重なる。380年以上前の数表に、斜方投射の2本の式がそのまま数で並んでいたのである。

途中の計算

初速度を縦と横に分ける

投げた点を原点にし、水平に軸、鉛直上向きに軸をとる。初速度の大きさを、水平からの角を()、重力加速度の大きさをとし、空気抵抗は考えない。

  1. 初速度を水平と鉛直の成分に分ける

初速度v₀を、水平の成分v₀ cos θと鉛直の成分v₀ sin θに分けた図。水平の成分は変わらず、鉛直の成分だけが重力で減っていく。
  1. 水平方向には力がはたらかず、等速で進む

  2. 鉛直方向は、初速度の投げ上げになる

  3. 鉛直方向の位置を書く

手順3と4は、鉛直投げ上げのをに置き換えただけだ。水平の成分は、縦の動きに何の影響も与えない。にして台の上から投げれば、水平投射になる。

  1. 最高点では鉛直方向の速度が0になる

  2. 手順4に代入して最高点の高さを出す

  3. 地面に戻るときとおき、の解をとる

  4. 手順2に代入して水平到達距離を出す

  5. 2倍角の公式を使う

では、どの角で投げれば最も遠くへ届くのか。はのときに最大の1をとるので、水平到達距離はで最大のになる。またなので、とは同じ距離に届く。2倍角の公式そのものは、三角関数の加法定理から出る。

同じ速さで30°、45°、60°に投げた3本の軌道。30°と60°は同じ点に落ち、45°の軌道はそれより遠くに落ちる。いちばん高く上がるのは60°である。

サグレドの話に戻ると、第6点が45°なら、四分儀の1点は7.5°にあたる。サルヴィアチが同じ距離になる組として挙げた第7点と第5点は52.5°と37.5°で、足すとちょうど90°だ。

ただし、落ちる点は同じでも、飛び方は同じではない。高さはに、滞空時間はに比例するからだ。60°で投げた球は、30°の球の3倍の高さまで上がり、倍、約1.7倍長く飛んでいる。

応用

45°より低く投げる場面

水平到達距離の式は、速さを測る物差しにもなる。45°で投げたボールが30 m先に落ちたなら、手順9から m/sで、時速にして約62 km。ストップウォッチがなくても、巻尺1本で初速が分かる。

でも、45°が最良なのは、投げた点と落ちる点が同じ高さで、空気抵抗がないときに限られる。投げる点が着地点より高いと、最良の角は45°より小さくなる。高さ2.0 mから13 m/sで投げる場合、角度を細かく変えて計算すると、最も遠いのは約42°のときで、45°より約9 cm遠くへ届く。差はわずかだが、向きはいつも45°より下になる。

空気抵抗が入ると、ずれはもっと大きい。文部科学省の学習指導要領解説も、空気抵抗の例として、速さに比例する抵抗力を受ける場合に触れるとしている。比例定数を質量で割った値を0.2 s⁻¹、初速を20 m/sとして、筆者がこの抵抗を入れて数値で解いてみた。真空なら40.8 m届くところが、最も遠くても29.5 mにとどまり、そのときの角は約40°まで下がった。抵抗は飛んでいる時間が長いほど水平の速さを削るので、滞空時間の短い低めの軌道が有利になるのだろう。

重力の代わりに、一様な電場の力を受ける荷電粒子も、同じ放物線を描く。を加速度に置き換えれば、手順6と9がそのまま使える。電荷、質量の粒子が強さの電場から受ける加速度は、どこでも同じだからだ。

例題と解説

15°と75°の同じ着地点

どの例題も、重力加速度の大きさを9.8 m/s²とし、空気抵抗を無視する。

例題 1基本仰角30°で投げる

小球を水平から30°上向きに、初速19.6 m/sで投げた。(1)最高点に達する時刻(2)最高点の高さ(3)水平到達距離を、有効数字2桁で求めよ。

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(1)手順5に入れる。

(2)手順6に入れる。鉛直方向の初速度は9.8 m/sである。

(3)手順9に入れる。

滞空時間は(1)の2倍の2.0 sで、水平方向の速さ m/sを掛けても同じ値になる。

例題 2基本最大の半分まで届く角

同じ初速で投げるとき、水平到達距離が45°のときの半分になる角を2つ求めよ。また、2つの角で、最高点の高さは何倍違うか。

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手順9から、となる角を探す。

高さはに比例するので、比は次のとおり。

同じ点に落ちる2つの球で、高さは約14倍も違う。

例題 3入試高さと距離が等しくなる角

(1)最高点の高さと水平到達距離の比がになることを示せ。(2)とが等しくなる角を、整数の度で求めよ。(3)45°で投げたときのを求めよ。

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(1)手順6と手順8の比をとる。

(2)を解くと、になる。

(3)なので。つまりガリレオの表でも、45°の高さ5000と、放物線全体の幅20000(半分の幅10000の2倍)の比は、ちょうど1 : 4になっている。

例題 4入試滞空時間の積

同じ速さで、異なる2つの角に投げた小球A、Bが、40 m先の同じ点に落ちた。Aの滞空時間は1.5 sだった。(1)2つの滞空時間の積がになることを示せ。(2)Bの滞空時間を求めよ。(3)Aを投げた角と初速を、有効数字2桁で求めよ。

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(1)同じ点に落ちる2つの角はとである。手順7から、滞空時間は次のようになる。

掛けると、手順8のが現れる。

(2)(1)の式に入れる。

(3)2つの滞空時間の比がになる。

なので、初速は次のとおり。

入試・大会での出題

極板のあいだを飛ぶ荷電粒子

  • 2026年 大学入学共通テスト 本試験 物理 第4問 問3:一様な電場がある平行な極板のあいだに、負の電荷をもつ粒子を、極板と45°をなす向きに速さで入れる。粒子は放物線を描き、距離離れた穴から出てくる。このときの電場の強さを、などで表す式を選ぶ。重力の代わりに静電気力が一定の加速度を与えるので、手順9のを置き換えて解ける形である。出典は大学入試センター「令和8年度 本試験の問題」。

参考文献

  1. 文部科学省『高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 理科編 理数編』(2018)、第1部 第2章 第3節「物理」3(1)ア(ア)㋑ 放物運動、64-65ページ
  2. Galileo Galilei, Dialogues Concerning Two New Sciences, trans. H. Crew, A. de Salvio, The Fourth Day, Dover (1954), pp. 275-286(命題7の系、命題8、命題12と13、高さと幅の表)
  3. 大学入試センター「令和8年度 大学入学共通テスト 本試験 物理」

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この記事は、人が監修しながらAIを活用して執筆した。執筆・監修: 佐々木 航(株式会社Game)。

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