光合成の反応式

Overall equation of photosynthesis

出てくる酸素は、二酸化炭素ではなく水から来る。

光合成では、二酸化炭素6分子と水12分子から、グルコース1分子と酸素6分子と水6分子ができる。出る酸素の原子はすべて水から来る。

年代
1941年(ルーベンらが酸素18で光合成を調べる)
習う
高3・生物・生命現象と物質
レベル
基本(例題 3 問)
人物
サミュエル・ルーベン、マーティン・ケイメン、メルヴィン・カルヴィン
作成日
更新日
執筆・監修
佐々木 航
起源

酸素18で印を付ける

光合成で出てくる酸素は、二酸化炭素と水のどちらから来たのか。1941年、サミュエル・ルーベン、マール・ランドール、マーティン・ケイメン、ジェームズ・ハイドの4人は、ふつうより重い酸素原子である酸素18を目印にして、光合成を調べた結果を発表した。カリフォルニア大学のメルヴィン・カルヴィンらが1950年にまとめた報告によれば、ルーベンらの一連の実験で、光合成で出る酸素は、すべて水が酸化されてできたものだと示された。

途中の計算

原子を数えて12と6を読む

使うのは、反応の前と後で原子の数は変わらないという決まりだけだ。両辺の原子を数えてから、酸素原子がどこへ行くかを追う。

反応式の係数は、分子の数を表す。は二酸化炭素の分子が6個という意味で、元素記号の右下の小さな数は、1分子の中の原子の数を表す。だからは、炭素6個、水素12個、酸素6個がつながったグルコース(ブドウ糖)1分子である。

二酸化炭素は葉の気孔から、水は根から入り、葉緑体で光のエネルギーを使って糖に変わる。

葉の図。二酸化炭素6CO₂は気孔から、水12H₂Oは根から葉に入り、光エネルギーを受けた葉緑体で、糖のC₆H₁₂O₆と、新しくできる水6H₂Oになる。酸素6O₂は葉から外へ出る。係数は分子の数で、6CO₂はCO₂が6個という意味。

原子の数は、係数で表した分子の数に、1分子に含まれる原子の数を掛けて求める。

  1. 左辺の炭素原子を数える

  2. 右辺の炭素原子を数える

  3. 左辺の水素原子を数える

  4. 右辺の水素原子を数える

  5. 左辺の酸素原子を数える

  6. 右辺の酸素原子を数える

水の酸素12個は、すべて酸素6分子になる。二酸化炭素の酸素12個は、6個がグルコースに、残りの6個が新しくできる水に入る。

酸素原子は両辺とも24個で、行き先は2つに分かれる。水から来た12個はすべて酸素の分子になり、二酸化炭素から来た12個は、グルコースと新しい水に6個ずつ入る。つまり、左辺の水12分子と右辺の水6分子は、別の水である。

では、なぜ両辺に水を書くのか。原子の数だけなら、両辺から水を6分子ずつ引いた短い式でもつり合う。

  1. 両辺から水を6分子ずつ引く

ただ、短い式では、出てくる酸素6分子(酸素原子12個)が、二酸化炭素の酸素12個から来たようにも読めてしまう。左辺に水を12分子置く形は、酸素の出どころまで書き込んだ式といえる。

目印の酸素18を水に入れておくと、印のついた原子はすべて酸素の分子へ移る。二酸化炭素に入れておくと、印はグルコースと新しい水に移り、出てくる酸素には1つも入らない。

光合成は、葉緑体の中の2つの場所に分かれて進む。チラコイドは葉緑体の中に積み重なった平たい袋の膜で、光が当たるとここで水が分かれ、酸素が出る。そのまわりを満たす液の部分がストロマで、ここにあるカルビン回路という、ひと回りして元に戻る反応の道すじで、二酸化炭素から糖ができる。

NADPHは、チラコイドで水から取り出した水素(電子)を、カルビン回路まで運ぶ物質である。ATPは、生き物がエネルギーを受け渡すのに使う物質で、これもチラコイドでつくられ、カルビン回路で使われる。

  1. チラコイドで、光のエネルギーを使って水を分ける

  2. カルビン回路で、二酸化炭素から糖をつくる

  3. 2本の式を足し、両辺に同じだけあるととを消す

チラコイドでは水12分子が分けられて酸素6分子が出て、NADPHとATPができる。NADPHとATPはカルビン回路へ運ばれ、二酸化炭素6分子からグルコース1分子と水6分子がつくられる。使われたNADP⁺とADPは、チラコイドへ戻る。

右辺の水6分子は、カルビン回路で二酸化炭素の酸素からできる。カルビン回路はATPのエネルギーも使うが、使われてできたADPはチラコイドで再びATPに戻るので、全体の式には現れない。

応用

吸う二酸化炭素とためる糖

反応式の係数の比は、物質量の比でもある。原子量をH=1.0、C=12、O=16とすると、モル質量は二酸化炭素44 g/mol、水18 g/mol、グルコース180 g/mol、酸素32 g/molになる。反応式の分子の数をそれぞれmolに読み替えて、両辺の質量を足してみる。

左辺の二酸化炭素264 gと水216 gを合わせた480 gの帯と、右辺のグルコース180 g、酸素192 g、水108 gを合わせた480 gの帯は、同じ長さになる。

二酸化炭素を1 g吸うごとに、グルコースは gできる計算になる。吸う二酸化炭素と出る酸素は6 molと6 molで、同じ温度と圧力なら体積も等しい。だから、光合成の速さは、吸った二酸化炭素で測っても、出た酸素で測っても、同じ物質量で表せる。

物質の出入りでみると、グルコースを酸素で分解する呼吸の反応式は、光合成をちょうど逆にたどる形になる。体の中で燃やす糖の量と気体の比は、化学反応式の量的関係で計算できる。

例題と解説

吸った量と出た量から計算する

原子量はH=1.0、C=12、O=16とする。

例題 1基本グルコース9.0 gをつくる

光合成でグルコースが9.0 gできた。(1)吸収された二酸化炭素の質量と、(2)出た酸素の質量を求めよ。

解説を見る

グルコースの物質量は molである。係数の比は、グルコース1、二酸化炭素6、酸素6である。 (1)二酸化炭素は molで、質量は次のとおり。

(2)酸素も0.30 molなので、質量は次のとおり。

例題 2基本酸素18の行き先

水と二酸化炭素のあいだで酸素原子の入れかわりは起きないものとする。(1)酸素18を多く含む水と、ふつうの二酸化炭素を与えて光合成をさせた。酸素18が多く見つかるのは、グルコース、出てくる酸素、新しくできた水のうちどれか。(2)ふつうの水と、酸素18を多く含む二酸化炭素を与えた場合はどうか。

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(1)水の酸素原子は、チラコイドで水が分けられたときに、すべて酸素の分子になる。だから、酸素18は出てくる酸素だけに見つかる。 (2)二酸化炭素の酸素原子は、カルビン回路でグルコースと新しくできた水に6個ずつ入る。だから、酸素18はグルコースと新しくできた水に見つかり、出てくる酸素には入らない。

例題 3入試見かけの光合成と呼吸

ある植物の葉に一定の強い光を当てると、二酸化炭素の吸収は1時間あたり44 mgだった。暗いところに置くと、二酸化炭素の放出は1時間あたり8.8 mgだった。呼吸の速さは明るいところでも暗いところでも同じで、呼吸で分解されるのはグルコースだけとする。(1)光を当てたとき、光合成でつくられるグルコースは1時間あたり何mgか。(2)この光を10時間当て、残りの14時間を暗いところに置くと、1日にたまるグルコースは何mgか。

解説を見る

(1)光を当てている間も呼吸は続くので、光合成で使った二酸化炭素は、吸収した分と呼吸で出した分の和になる。

これは mmolで、グルコースはその6分の1の0.20 mmol、つまり mgである。 (2)呼吸で出る二酸化炭素8.8 mgは0.20 mmolで、分解されるグルコースはその6分の1。1時間あたり mgになる。1日では、光合成でつくる量から24時間の呼吸で使う量を引く。

参考文献

  1. 文部科学省『高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 理科編 理数編』(2018)、第1部 第2章 第7節「生物」3(2)ア(イ)㋑ 光合成、135-136ページ
  2. S. Ruben, M. Randall, M. Kamen, J. L. Hyde, "Heavy Oxygen (O18) as a Tracer in the Study of Photosynthesis", Journal of the American Chemical Society 63 (1941), 877-879
  3. G. D. Dorough, M. Calvin, "The Path of Oxygen in Photosynthesis", UCRL-645, University of California Radiation Laboratory(1950年3月)

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この記事は、人が監修しながらAIを活用して執筆した。執筆・監修: 佐々木 航(株式会社Game)。

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