オセロ仲間が教えたグラフ
紙に1辺1 cmの正三角形を描き、1 cm離れた2点は違う色にするという決まりで頂点を塗ると、3色が要る。では、紙の上のすべての点を同じ決まりで塗るとしたら、何色が要るのか。答えは5色か6色か7色のどれかで、まだ決まっていない。
5色以上が要ると分かったのは2018年4月で、示したのは数学者ではなかった。老化の研究で知られる生物学者のオーブリー・デ・グレイが、4色では塗れない点の配置を見つけたのである。2026年10月には、5色でも足りないとする原稿をOpenAIが公開した。社内のAIのモデルが書いたもので、数学者による検証はこれからである。
デ・グレイは、今生きている人が1,000歳まで生きられると唱えてきたことで知られる。科学誌Quantaによると、当時は老化の害を取り除く技術の開発を目指す団体の共同創設者で、研究の責任者だった。数学との縁は、数十年前のオセロにさかのぼる。大会に出ていたころ、オセロ仲間の数学者たちからグラフ理論を教わったという。

「本業から一休みしたいとき、ときどき数学を考える」。Quantaの取材に、デ・グレイはそう答えている。2017年のクリスマス休みが、その機会になった。
年が明けた2018年1月16日、デ・グレイは、4色では塗れない図を見つけたというメールを、雑誌『Geombinatorics』を創刊したアレクサンダー・ソイファーに送った。ところが、その図は4色で塗れた。同じときにデ・グレイからメールを受け取ったロバート・ホックバーグが、自分で書いたプログラムで塗り方を見つけたのである。原因は、デ・グレイのプログラムの不具合だった。
不具合を直すと、少し大きな図では、今度こそ4色の塗り方が見つからなかった。ホックバーグのプログラムでも見つからない。4月7日、デ・グレイは直した原稿をソイファーに送り、arXivにも投稿した。題は「平面の彩色数は少なくとも5」。最初に組み立てた図は20,425点あり、それを1,500点あまりまで削っていた。1
「途方もなく運がよかった」とデ・グレイは言う。1,581点を4色で塗る方法はおよそ通りあって、1つずつは試せない。それでも、ほかの研究者がSATソルバーという汎用のプログラムで調べ直し、4色の塗り方が1つも無いことを確認した。
18歳の問い、20歳の塗り分け
問いが生まれたのは、1950年11月のシカゴ大学である。ソイファーによると、18歳の学生エドワード・ネルソンは、距離がちょうど1の2点が同じ色にならないように平面を塗るには何色要るかを考え、4色は要ることにすぐ気づいた。友人で20歳のジョン・イズベルは、正六角形を7色で塗り分ければ足りることを見つけた。


ただ、ネルソンはこの問いを論文にしなかった。広く知られたのは1960年10月、マーティン・ガードナーが『サイエンティフィック・アメリカン』の連載「数学ゲーム」で取り上げてからである。翌1961年には、スイスの幾何学者フーゴ・ハドヴィガーが、未解決問題を集めた記事に載せた。今もハドヴィガー=ネルソン問題と呼ばれるが、ソイファーによると、ハドヴィガーは自分が作者ではないと同じ年に認めている。7色の塗り分けそのものは、ハドヴィガーが1945年に、別の目的の論文で扱っていた。
4色が要ることを示すいちばん小さな図は、1961年5月の『Canadian Mathematical Bulletin』に載った。レオとウィリアムのモーザー兄弟が出した問題で、平面のどの6点も3色で塗れることと、7点ではそうはいかないことを示せ、というものである。兄弟は自分たちの解答で、距離1の2点を「友だち」、そうでない2点を「敵」と呼んだ。解答の最後に置かれた図が、3色では塗れない7点だった。今はモーザーの紡錘と呼ばれている。

下は4、上は7。この幅は、そこから68年動かなかった。ソイファーの随筆は、ポール・エルデシュが1992年2月にフロリダのボカラトンで語った言葉を冒頭に引いている。「人のよい問題にまで賞金は出せない。本当に破産してしまう。……とてもよい問題だ。私の問題なら250ドル出すところだ」。ロナルド・グレアムは2000年代の総説で、5以上を示せば100ドル、6以下を示せば250ドルという懸賞をかけた。ソイファーは、1991年のヴィクター・クレーとスタン・ワゴンの見積もりも紹介している。四色問題と同じだけ時間がかかるなら、答えが分かるのは2084年になるという。
では、デ・グレイの論文のあと、何が起きたのか。デ・グレイはテレンス・タオに持ちかけ、誰でも加われるオンラインの共同研究Polymath16で、もっと小さな図を探し始めた。1週間ほどで、テキサス大学オースティン校の計算機科学者マライン・ヒューレが874点の図を見つけた。ヒューレは2019年に529点まで縮め、2020年にはヤーン・パーツが509点の図を示した。
別の道で5にたどり着いた2人もいた。ソイファーによると、ジェフリー・エクスーとダン・イスマイレスクは、2018年1月ごろには4色で塗れない別の図を手にしていた。2人の証明は5月1日にarXivに出て、2020年に『Discrete & Computational Geometry』に載った。
紡錘と六角形で挟む
平面の点に色を割り当て、距離1の2点がいつも違う色になる塗り方を考える。そうした塗り方に要る色の最小の数がで、はカイと読む。距離1の2点を線で結んだ点の集まりを、単位距離グラフと呼ぶ。
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平面の塗り方を、平面に置いた単位距離グラフの点だけに使えば、の塗り方になる。だから、色で塗れないが1つあれば、平面も色では塗れない。
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1辺1の正三角形の3頂点は、どの2つも距離1にある。
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正三角形とを辺で貼り合わせたひし形を考える。3色で塗ると、, , で3色すべてを使い、はともとも違う色なので、と同じ色になる。との距離はである。
ひし形の頂点A, B, Cが3色を使い切ると、Dに残るのはAの色だけになる。 -
同じひし形をのまわりに回し、先端をから距離1の位置に置く(回す角は次の章で求める)。もと同じ色になるので、距離1のとが同じ色になってしまう。7点11本のこの図がモーザーの紡錘で、3色では塗れない。
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上からは、1辺の正六角形で平面を敷き詰め、隣り合う7つがすべて違う色になるように7色で塗る。境目の点は、隣り合う六角形のどちらか一方に入れる。1つの六角形に入る2点はより離れず、同じ色をした別の六角形の点とは以上離れるので、両方が1を外れればよい。
同じ色の六角形どうしで最も近いのは頂点どうしで、横に5a/2、縦に√3a/2ずれているので、距離は√7aになる。 -
たとえばとすれば、で、条件を満たす。
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5に上げるデ・グレイの証明は、正六角形の6頂点と中心からなる7点12本の図から始まる。4色で塗ると、外側の6点は中心と違う3色で塗ることになる。外側の1つおきの3点は互いに離れた正三角形をなし、塗り方によっては、この3点が同じ色になる。
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デ・グレイは、の写しを52個含む121点の図を組み、どう4色で塗っても、どれかので1つおきの3点が同じ色になることを示した。を組み合わせた図をやだけ回して重ね、新しく距離1の組を作るのが要になる。
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次に、中心にを持つ図を組み、どの4色の塗り方でも、中心のでは1つおきの3点が同じ色にならないことを計算機で確認した。MacBook AirのMathematica 11で、数分で終わったという。
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の52個のそれぞれにの中心を重ねると、20,425点の図ができる。の側からはどこかので3点が同じ色になるはずなのに、の側からはそれが許されない。つまり、は4色では塗れない。
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逆向きには、1951年のド・ブラインとエルデシュの定理がある。選択公理を認めれば、どの有限の部分も色で塗れる無限のグラフは、全体も色で塗れる。平面の彩色数は、有限の単位距離グラフの彩色数の最大値に等しい。
もっとも、手順9は計算機による確認で、人の手で追える長さではない。図の作り方は論文にすべて書かれているので、別のプログラムでも確かめ直せる。
回す角は33.56°
紡錘を作るには、2つ目のひし形をどれだけ回せばよいのか。数学Iの余弦定理だけで求まる。
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正三角形の高さを2つ足して、ひし形の長い対角線を出す
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回したひし形の先端も、から同じ距離にある
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三角形に余弦定理を使う()
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とおく
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について解く
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角度に直す
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を共有し、を足して、点と線を数える
偶然ほかに距離1の組ができていないかも、座標で調べておく。線で結ばない残りの10組の距離は0.457からまでのどれかで、1になる組は無い。線はちょうど11本である。6点ならどう置いても3色で塗れるので、紡錘は、3色で塗れない単位距離グラフのうちで点がいちばん少ない。
基地局も7つで1組
六角形を7色で塗り分ける形は、携帯電話の設計にも現れる。1979年1月、V・H・マクドナルドは『Bell System Technical Journal』に、移動電話の方式AMPSの考え方を書いた。地域を正六角形のセルに分け、使える周波数をいくつかの組に分けて、同じ組を離れたセルで使い回す。
同じ周波数を使うセルの中心どうしの距離を、セルの中心から頂点までの半径をとする。1組のセルの数は、整数, で次の形に限られ、もで決まる。
AMPSの品質の目標は、信号対干渉比(S/I)を、サービスする範囲の90%で17 dB以上に保つことだった。フィラデルフィアのような街を想定したシミュレーションでは、120°の指向性アンテナならセルの半径の4.6倍、無指向性アンテナなら6.0倍離せば足りた。、なので、それぞれ7セルと12セルで1組になる。
7セルで1組の配置は、イズベルの7色と同じ形をしている。六角形の1辺がセルの半径にあたり、同じ色の中心どうしはどちらも離れる。違うのは、何から遠ざけたいかだ。平面の塗り分けでは、同じ色のいちばん近い2点の距離が1を超えればよい。一方、基地局では、混信が許せる強さまで弱まる距離が要る。たとえばセルの半径が2 kmなら、同じ周波数の基地局は約9.2 km離れ、無指向性アンテナにすると12 kmになる。
5点なら3色で足りる
例題 1基本直線と平面
(1)数直線の点を、距離1の2点が同じ色にならないように2色で塗る方法を1つ示せ。
(2)平面は2色では塗れないことを示せ。
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(1)整数について、区間の点を、が偶数なら色1、奇数なら色2で塗る。がにあれば、は隣の区間にあって色が変わる。
1色ではとが同じ色になるので、直線にはちょうど2色が要る。
(2)1辺1の正三角形の3頂点は、どの2つも距離1にある。3点に2色しか使えなければ、2点が同じ色になる。
平面には3色以上が要る。
例題 2入試六角形の大きさの範囲
1辺の長さの正六角形で平面を敷き詰め、7色で塗り分ける。座標平面で、原点を中心とする六角形に頂点がある。同じ色の六角形には、中心がで、頂点を持つものがある。
(1)2つの中心の距離を求めよ。
(2)の長さを求めよ。
(3)1つの六角形に入る2点の距離は以下、同じ色をした別の六角形の点との距離は以上であることを使い、距離1の2点が同じ色にならないの範囲を求めよ。
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(1)三平方の定理で計算する。
(2)横の差は、縦の差はである。
(3)同じ六角形の2点については、同じ色の別の六角形の2点についてはがあれば足りる。
小数にするとで、幅はあまり広くない。やのときは、境目の点をどちらの六角形に入れるかまで考える必要がある。
例題 3難関1つおきの3点
正六角形の中心と、6つの頂点を合わせた7点で、距離1の2点を線で結ぶ。中心と頂点を結ぶ6本と、周りの6本である。中心を色1で塗り、残りの6点を、線で結ばれた2点が同じ色にならないように色2, 3, 4で塗る。
(1)6点の塗り方は何通りあるか。
(2)がすべて同じ色か、がすべて同じ色になる塗り方は何通りあるか。
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(1)6点は輪になって並び、隣どうしが違う色になればよい。から順に塗ると、は3通り、からは直前と違う色で2通りずつなので、通りになる。このうちがと同じ色になるものは、とを1つの点とみなした5点の輪を塗る方法と同じ数だけある。点の輪を塗る方法の数をとすると、同じ考え方で、である。
66通りある。
(2)を同じ色にする塗り方は、その色の選び方が3通り、はそれぞれ残りの2色から選べるので、通り。を同じ色にするものも24通り。両方が成り立つのは、2色を交互に塗る通りである。
66通りのうち42通り、およそ3分の2で、1つおきの3点が同じ色になる。デ・グレイの証明は、この3点がどこかで同じ色になるよう図で追い込み、図でそれを禁じる形をしている。
例題 4オリンピック5点は3色で塗れる
平面上のどんな5点も、距離1の2点が同じ色にならないように3色で塗れることを示せ。
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距離1の2点を、モーザー兄弟にならって「友だち」と呼ぶ。
まず4点なら塗れる。4点がどれも互いに友だちになることはない。互いに距離1の3点は正三角形をなし、3頂点から等しい距離にある点はその中心だけで、中心までの距離はだからである。友だちでない2点を色1、残りの2点を色2と色3で塗ればよい。
5点では、友だちが2人以下の点があれば、残りの4点を3色で塗り、には友だちが使っていない色を塗る。友だちが4人の点があれば、4人はを中心とする半径1の円の上にある。この円の上で友だちどうしの2点は、中心角が60°の位置に並ぶ。友だちをたどっていくと、6歩で元に戻る輪になるか、途中で切れる道になり、4点では輪にならないので2色で交互に塗れる。には3つ目の色を塗る。
残るのは、5点すべての友だちがちょうど3人の場合である。友だちの人数を5点分足すと、友だちの組を2回ずつ数えることになるので、和は偶数のはずだ。
奇数なので、この場合は起こらない。偶奇で場合を消す議論は、一筆書きの定理で次数を足すときと同じである。6点ではが偶数になり、この手は使えない。モーザー兄弟の解答は、そこからさらに場合を分けて6点を塗っている。
例題 5大学SATの節を数える
パーツの509点、2,442本の図を4色で塗れるかを、SATソルバーで調べる。点と色ごとに、を色で塗るときだけ真になる変数を置き、各点に少なくとも1色を塗る節と、線で結ばれた2点を同じ色にしない節を並べる。
(1)変数と節の数を求めよ。
(2)塗り方を1つずつ試すなら何通りあるか。10の何乗かで答えよ。
(3)互いに距離1の3点の色を1, 2, 3に固定すると、調べる範囲はおよそ何分の1になるか。
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(1)変数は個。節は、点ごとのが509個、線ごと色ごとのが個で、合わせて次の数になる。
(2)各点が4通りなので通りある。
およそ通りで、1つずつは試せない。
(3)色の名前を入れ替えても、塗れるかどうかは変わらない。3点の色の並べ方通りのうち1つだけを調べればよく、およそ24分の1になる。ヒューレは553点の図でこの固定を使った。4色で塗れないことの証明は、節を1万4,000〜1万9,000個書き足すだけの長さで、検査は1秒ほどで済む。
パトナムの1インチ
- 1988年 パトナム数学競技会 問題A4:平面の各点を3色で塗ったとき、ちょうど1インチ離れた同じ色の2点が必ずあるかを問い、続けて3色を9色に変えたらどうかを問う。出典はThe Putnam Archive。
数字で塗った六角形
どの六角形も、まわりの6つと番号が違う。斜線の1から次の1へは、2つ進んで60°曲がり、もう1つ進めば着く。基地局の式で、とした配置で、になる。中心どうしは離れ、同じ番号の六角形は6方向に同じ間隔で並ぶ。
目盛りは10倍ごとである。デ・グレイの論文が出てから2か月足らずで、1,581点は553点まで縮んだ。その後の2年あまりで減ったのは、44点だけだった。
点を置いて塗らせる
「紡錘を組む」では、7点11本のモーザーの紡錘が開いた形から閉じていき、とが距離1になったところで要る色が3から4に増える。空いた所をたたくと点を置け、ほかの点から距離1の円に近づくと吸い付くので、正三角形やひし形も自分で組める。「六角形で塗る」では、長さ1の物差しをドラッグで動かし、六角形の1辺を変えてみる。が0.378から0.5のあいだにある限り、毎コマ200本ずつ調べる線分に、両端が同じ色のものは1本も出てこない。
計算機の証明と電波の配置
- 数学 無限に多い点の塗り分けを、有限個の点の図に置き換えて調べるときに使う。その橋渡しが、証明の手順11のド・ブラインとエルデシュの定理である。色ごとの点の集まりを測れる集合に限ると、ファルコナーが1981年に5色以上が要ることを示していた。塗り分けると必ず現れる形を問う点で、ラムゼーの定理とも同じ仲間である。
- 情報科学 塗り分けの問題を、真か偽かをとる変数の式に直して、SATソルバーで解くときに使う。色で塗れるかは個の変数で書け、塗れないときは、ソルバーが出す証明を形式検証された検証器で検査できる。ヒューレは、この証明に一度も使われなかった点を消していくことで、単位距離グラフを小さくした。
- 工学 移動通信の基地局に周波数を割り当てるとき、同じ周波数をどれだけ離して使い回すかを、六角形のセルの塗り分けで決める。1組のセルの数と、同じ周波数の基地局の間隔が、AMPSの設計に使われた。
6色をめぐる2026年
- 2026年 米OpenAI:10月6日、社内の未公開のAIモデルが書いた700本を超える数学の原稿を公開した。その1本「ユークリッド平面は5色では塗れない」(9月23日付)は、塗り方に条件を付けずに、どの5色の塗り方にも距離1の同じ色の2点があると主張する。正しければとなり、証明の手順11から、6色を要する有限の単位距離グラフもどこかにあることになる。OpenAIは証明を証明支援系Leanで形式化したとしていて、Leanに書いた定理の文は数行しかない。ただ、数学者による検証と論文の審査はこれからで、ギル・カライも公開の翌日のブログで、Leanによる検証にも問題がありうると注意している。10月11日に出たリーとスーの論文は、この原稿の別の定理とそのLeanの証明を土台にしたもので、5色の主張を確かめたものではない。出典はOpenAIの原稿、形式化の範囲、カライのブログ、arXiv:2610.15424。
- 2026年 ドゥーツとヴァルガ:どの2点も距離1でない点を、全体の4分の1より少なくしか選べない有限の単位距離グラフがあることを証明し、エルデシュの問いに答えた。点を4色で塗れば、どれかの色が点以上を占めるので、選べる点の最大数がに届かないグラフは4色では塗れない。からを出す、デ・グレイとは別の数え方の道である。存在を示した証明で、実際に組むと点の数は膨大になる。出典はarXiv:2606.28157。
- 2022〜2024年 アンブルシュら5人(レーニ数学研究所ほか):距離1の2点を含まない測れる集合は、平面の0.2470より多くを占められないことを示し、密度は4分の1を超えないというエルデシュの予想を解いた。4つの測れる集合で距離1を避けながら塗れるのは、平面のまでになる。ファルコナーの「測れる色分けなら5色以上」の別証明にもなっている。出典はarXiv:2207.14179。
- 2024〜2025年 ムンディンガー、ポクッタ、シュピーゲル、ツィマー(ベルリン工科大学、ツーゼ研究所):ニューラルネットワークで塗り分けの候補を探し、6色の塗り方を新しく2つ見つけた。5色は距離1を、6色目だけは別の距離を避ける塗り方である。こうした塗り方はでしか知られていなかったが、まで広がり、30年ぶりの更新になった。を1まで広げられれば6色で平面を塗れることになり、上限が7から6に下がる。出典はarXiv:2404.05509とICML 2025の論文。
参考文献
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- A. Soifer, The Mathematical Coloring Book (Springer, 2009); A. Soifer, "Breakthrough in My Favorite Open Problem of Mathematics: Chromatic Number of the Plane" (concise version of Geombinatorics 28(1) (2018), 5-17); MacTutor History of Mathematics, "Joseph Edward Nelson"; E. Lamb, "Decades-Old Graph Problem Yields to Amateur Mathematician", Quanta Magazine (17 April 2018).
- L. Moser, W. Moser, "Solution to Problem 10", Canad. Math. Bull. 4(2) (1961), 187-189; H. Hadwiger, "Überdeckung des euklidischen Raumes durch kongruente Mengen", Portugaliae Math. 4 (1945), 238-242; N. G. de Bruijn, P. Erdős, "A colour problem for infinite graphs and a problem in the theory of relations", Indag. Math. 13 (1951), 371-373; K. J. Falconer, "The realization of distances in measurable subsets covering R^n", J. Combin. Theory Ser. A 31 (1981), 184-189.
- M. J. H. Heule, "Computing small unit-distance graphs with chromatic number 5", Geombinatorics 28(1) (2018), 32-50 (arXiv:1805.12181); M. J. H. Heule, "Trimming Graphs Using Clausal Proof Optimization", CP 2019, LNCS 11802, 251-267 (arXiv:1907.00929); J. Parts, "Graph minimization, focusing on the example of 5-chromatic unit-distance graphs in the plane", Geombinatorics 29(4) (2020), 137-166 (arXiv:2010.12665).
- V. H. MacDonald, "Advanced Mobile Phone Service: The Cellular Concept", Bell System Technical Journal 58(1) (1979), 15-41.
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- The 49th William Lowell Putnam Mathematical Competition (3 December 1988), Problem A4 (The Putnam Archive); V. Klee, S. Wagon, Old and New Unsolved Problems in Plane Geometry and Number Theory (MAA, 1991).
注
-
arXivの第1版(4月8日付)は要旨で1,567点としていて、3日後の第2版から1,581点になっている。この記事では、雑誌に載った1,581点で書く。 ↩