駐車場の小屋の望遠鏡
1999年9月、ハーバード大学の大学院生デイヴィッド・シャルボノーは、コロラド州ボルダーで、駐車場の小さな木の小屋に置かれた望遠鏡を使い、ペガスス座の星を1つ見張っていた。望遠鏡の口径は4インチ、約10 cmで、多くのアマチュアの天文家が使うものより小さい。

作ったのは高高度観測所のティモシー・ブラウンで、惑星が恒星の前を横切るときに起きる、わずかな減光を探す装置だった。シャルボノーの指導教員ボブ・ノイズは、すでに多くの人が取り組んでいたドップラー法を避け、ブラウンと組むよう勧めた。シャルボノーは中古の車を買い、ボルダーまで走った。
狙ったのは7.65等の星HD 209458である。ハーバード・スミソニアン天体物理学センターのデイヴィッド・レイサムと、ジュネーヴ天文台のミシェル・マイヨールのチームは、この星が視線の方向に揺れていることから、3.5日で回る惑星がいるとにらんでいた。ただ、揺れが星そのものの変動から来ている見込みも消えていなかった。8月に2人がこの星を勧め、速度の観測から求めた軌道を使えば、惑星が横切りうる時刻も前もって計算できた。
観測は8月29日から9月16日までの10夜に及び、星が明るすぎるので、わざと焦点をぼかして撮った。シャルボノーはまず、影が来ないはずの夜を調べた。明るさは平らだった。ところが9月9日のデータを開くと、星は数時間にわたって暗くなっていた。
「発見の過程は、思い描いていたものとまったく違った。ひどく落ち着かなかった。自分をだましているのではないか」。2024年にカブリ賞を受けたとき、シャルボノーは自伝にそう記している。でたらめに選んだほかの日付も、明るさは平らなまま。そして影が来るはずのもう1つの夜、9月16日のデータに、くぼみはまた現れた。シャルボノーはブラウンの家へ急いだ。
一方、同じ星を別のチームも追っていた。カリフォルニア大学バークレー校のジェフリー・マーシーらは11月5日、ケック望遠鏡でこの星の揺れを見つけ、テネシー州立大学のグレゴリー・ヘンリーに知らせる。ヘンリーは、アリゾナ州南部の山にあるフェアボーン天文台の自動望遠鏡を、予想した時刻に星へ向けた。11月7日、星は予想どおりに暗くなり始めた。ヘンリーらが知らせた深さは0.017等で、明るさにして約1.6%にあたる。

「私たちは、いわば惑星の影を見たのだ」。ケック天文台の発表で、ヘンリーはそう語っている。2つのチームの論文は、2000年1月20日発行の天文学の専門誌に並んで載った。もっとも、影の入り口しかとらえていなかったヘンリーらは、最初の報告で惑星の半径を木星の1.6倍とした。2夜の影を丸ごととらえたシャルボノーらは、1.27倍と求めている。
影で惑星の大きさを測る計画
影が見つかるまで、系外惑星について分かるのは、星の揺れから読める量だけだった。1995年にペガスス座51番星を回る惑星が見つかって以来、惑星探しは、恒星が視線の方向に揺れる速さをドップラー効果で測る方法が中心だった。揺れから分かるのは周期と、軌道の傾きを含んだ質量で、惑星の大きさはまったく分からない。
横切る惑星なら、2つの欠けをどちらも埋められる。影が落ちる以上、軌道はほぼ真横を向いていてはほぼ1になり、影の深さからは半径が出るからだ。こうしてシャルボノーらは、HD 209458 bの質量を木星の0.63倍、密度を1 cm³あたり約0.38 gと求めた。太陽系でいちばん密度が小さい土星より、さらに小さい。大きさと質量がそろって分かった、初めての系外惑星である。
ただし、影を探す側には確率の壁がある。軌道半径を、恒星の半径をとすると、でたらめな向きの軌道で影が見える割合は、およそになる。3.5日で回るHD 209458 bでは約10%だが、地球と太陽では0.47%しかない。しかも地球が前を横切っても、太陽は0.0084%しか暗くならない。地球ほどの惑星を見つけるには、何万もの星を、大気に邪魔されない宇宙から見張り続けるしかなかった。
その計画を早くから温めていたのが、NASAエイムズ研究センターのウィリアム・ボルッキである。シャルボノーらも論文の結びの近くで、大気の外からなら地球ほどの惑星も見つかるはずだとして、ボルッキらが1997年にNASAへ出した提案を引いた。「このミッションを考え始めた35年前、太陽系の外の惑星は1つも知られていなかった」と、ボルッキはNASAの紹介の中で振り返る。

ケプラー宇宙望遠鏡は、2009年3月6日の夜、フロリダ州のケープカナベラル空軍基地からデルタIIロケットで打ち上げられた。はくちょう座の一角にある約15万個の星を、直径1.4 mの鏡で見続け、明るさのくぼみを探した。2013年にリアクションホイールが2つ目まで壊れてからは、太陽の光の圧力を利用して向きを保つK2の観測に切り替えた。燃料が尽きて2018年10月に運用を終えるまでに見つけた惑星は、NASAによれば2,600個を超える。

隠れた面積が明るさを決める
では、星が暗くなった割合から、なぜ惑星の大きさが分かるのか。遠くの恒星は望遠鏡でも点にしか見えないが、届く光は半径の円盤から出ている。円盤の表面輝度(見かけの面積あたりの明るさ)をどこでも同じとし、恒星までの距離をとする。惑星は半径の円で、自分では光らないとする。
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届く光の量は、表面輝度と見かけの面積の積になる
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惑星の円がすべて円盤の内側にあれば、その面積の分の光が隠れる。惑星と恒星で距離の差はに比べて無視する
影が円盤の縁に外から触れる位置が1、内から触れる位置が2で、反対側が3と4。2と3のあいだだけ惑星の円の全体が円盤の内側にあり、隠れる面積がπRp²になる。 -
2つの比をとると、とが消える
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を約分する
つまり、暗くなる割合は星の明るさにも距離にもよらず、半径比だけで決まる。HD 209458 bについては、ナットソンらがハッブル宇宙望遠鏡で観測し、惑星は木星の1.320倍、恒星は太陽の1.125倍の半径と求めた。これを入れると、になる。
もっとも、「≈」の記号の裏には前提が3つある。まず、惑星の円が円盤の内側に入りきっていること。縁にかかっている間は隠れる面積がより小さく、円盤の端をかすめるだけの軌道では、くぼみはに届かない。次に、惑星の夜側が暗いこと。惑星の表面輝度をとすると、くぼみはで、夜側の光が無視できればに戻る。そして、恒星の円盤が一様に明るいことである。
この最後の前提は、本物の恒星では成り立たない。円盤は中心が明るく、縁ほど暗い。周縁減光と呼ばれる性質で、縁を見る視線は恒星の大気を斜めに進むため、浅くて温度の低い層までしか届かないことから起きる。だから惑星が円盤の中心を通ればくぼみはより深く、縁の近くを通れば浅くなり、光度曲線の底は平らにならずに丸みを帯びる。
周縁減光を積分に入れる
高等学校学習指導要領解説によると、高校の地学では恒星の性質として半径と質量を扱い、質量はケプラーの法則と関連づけて取り上げる。半径比を測るこの式は、その先にある。円盤の明るさが中心からの距離で変わるときの深さは、数学IIIの積分で求められる。よく使われる線形の周縁減光則では、表面輝度を次の形で表す。
は中心の明るさ、は縁の暗さの度合いで、なら一様な円盤に戻る。は、星の表面に立てた法線と視線とのなす角の余弦である。
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円盤を半径、幅の細い輪に分けて、明るさを足し合わせる
円盤を、中心から距離rのところにある幅drの細い輪に分ける。輪の面積は2πr dr、輪から届く光はI(r)・2πr drで、これを中心から縁まで足す。 -
と置き換える
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2つの積分を計算する
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代入してまとめる
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円盤の平均の明るさを出す
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小さな惑星が中心からの点を隠すとき、隠れる光を書く
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手順4との比をとる
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とおく
手順3の2つ目の積分は、と置くとになる。は、惑星が隠している点でのを表す。
中心を通る惑星ではで、くぼみはの倍になる。シャルボノーらが赤い光の観測で置いたなら1.2倍、2割深い。HD 209458 bの影が通る線は、恒星の半径を1として、円盤の中心から0.48だけ離れている。ナットソンらが求めた軌道傾斜角86.929°と、ケプラーの第三法則で出した軌道半径を使い、当サイトで計算した値だ。このときで、くぼみはの1.13倍、約1.64%になる。一様な円盤の式で読み戻すと、半径比を6%ほど大きく見積もってしまうだろう。
0.0084%の影を探す
木星ほどの惑星が太陽の前を横切ると、半径比が約0.10なので、太陽は約1%暗くなる。ところが地球の半径6,371 kmは太陽の約0.0092倍しかなく、くぼみは0.0084%と、木星のときの100分の1にも満たない。
地上の望遠鏡では、星のまたたきがこの小さな差を埋もれさせる。1999年のシャルボノーらの観測でも、明るさのばらつきが0.4%ほどあり、主な原因は大気のゆらぎだった。5分ずつまとめても0.14%ほどが残る。1.5%ほどのくぼみなら見えるが、0.0084%にはまったく届かない。ケプラーを宇宙へ上げたのは、この差を埋めるためだった。
恒星の側を選ぶ手もある。同じ大きさの惑星でも、恒星が小さいほど影は深い。たとえば2024年に報告されたGliese 12 bは地球の0.96倍の大きさで、半径が太陽の0.26倍しかない赤色矮星を回る。半径比は0.0336、くぼみは約0.11%で、地球と太陽の13倍あまりにもなる。
影の深さは、見えない惑星の中身にもつながる。半径が分かれば体積が出て、視線速度から求めた質量と合わせれば密度が出る。HD 209458 bの1 cm³あたり0.38 gは水よりずっと小さく、この惑星がガスの塊だとはっきりした。
影が続く時間にも、軌道の情報が入っている。円軌道の惑星は1周の長さを周期で回るので、恒星の直径を横切る時間は、およそになる。軌道の傾きと惑星の大きさまで入れて計算すると、HD 209458 bの影は約3.1時間続く。長さを測ればが分かり、周期と組み合わせて恒星の平均密度まで読める。
影の深さから半径を求める
例題 1基本土星ほどの惑星と火星ほどの惑星
半径 kmの恒星の前を、(1)半径 kmの惑星、(2)半径 kmの惑星が横切る。それぞれ、恒星の明るさは何%下がるか。(3)2つのくぼみの深さは何倍違うか。惑星の円は円盤の内側に入りきり、恒星の円盤は一様に明るいとする。
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(1)半径比はである。
したがって、明るさは約0.69%下がる。
(2)半径比はで、くぼみは次のとおり。
明るさは約0.0024%しか下がらない。
(3)恒星の半径が同じなので、深さの比は、惑星どうしの半径比を2乗したものになり、約290倍の差がつく。
例題 2基本くぼみの深さから半径を出す
半径が太陽の0.50倍の恒星を惑星が横切るたびに、明るさが0.36%下がる。太陽の半径を km、地球の半径を kmとして、惑星の半径を求めよ。地球の何倍になるか。
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式をについて解く。
恒星の半径 kmを入れる。
地球の倍で、地球と海王星のあいだの大きさになる。
例題 3入試等級で測ったくぼみ
惑星が横切るあいだ、恒星の見かけの等級が0.010等だけ大きくなった。等級の差と明るさの比のあいだにはの関係がある。(1)明るさは何%下がったか。(2)恒星の半径が太陽の1.2倍のとき、惑星の半径は木星の何倍か。太陽の半径は木星の10倍とする。
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(1)明るさの比を求める。
下がった割合はで、約0.92%になる。が小さいときは、下がる割合はほぼと考えてよい。
(2)半径比を出す。
恒星は木星の倍の大きさなので、となり、惑星は木星の約1.15倍の大きさである。
例題 4入試ケプラーの第三法則と組み合わせる
太陽と同じ質量と半径の恒星を、周期3.0日の円軌道で回る惑星がある。太陽の半径を0.00465 au、1年を365日とする。(1)軌道半径は何auか。(2)軌道の向きがでたらめだとして、影が見える確率をで見積もれ。(3)惑星が恒星の中心を横切るとき、影はおよそ何時間続くか。惑星の大きさは無視する。
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(1)恒星の質量が太陽と同じなので、周期を年、軌道半径をauで測ればが成り立つ。
(2)比を計算すると、約11%になる。
(3)惑星は円周を3.0日、つまり72時間で回る。恒星の直径を横切るのにかかる時間は、約2.6時間である。
例題 5難関周縁減光を忘れると
線形の周縁減光則での恒星を、半径比の惑星が横切る。惑星は小さいとみなし、深さはで表せるとする。(1)恒星の中心を通るときの深さはいくらか。(2)その深さを一様な円盤の式で読むと、半径比はいくらになるか。(3)中心からのところを通るときの深さはいくらか。
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(1)中心ではなのでで、平均はになる。
深さは1.25%である。
(2)一様な円盤の式に入れる。
本当の0.10より、約12%大きく見積もってしまう。
(3)を入れて、明るさの比を出す。
深さは0.95%で、より浅い。
共通テストと天文学オリンピックで問われた深さ
- 2025年 大学入学共通テスト 本試験 地学 第5問〔B〕問5:太陽ほどの質量の主系列星を、木星と同じ質量と半径の惑星が回る場合と、地球と同じ質量と半径の惑星が回る場合を比べる。視線速度による暗線の波長の変化と、惑星が恒星の前を通るときの見かけの明るさの変化について、どちらが大きいかを組み合わせで選ぶ。出典は大学入試センター「令和7年度 本試験の問題」。
- 2025年 国際天文学・天体物理学オリンピック(IOAA) データ解析試験「太陽系外惑星の30年」:見かけの等級が7.65、年周視差が20.67ミリ秒角の太陽型の星と、そのまわりを回る1つの惑星を扱う。視線速度の曲線から周期と速度の半振幅を読み、光度曲線から深さと継続時間を読んで、衝突径数と軌道傾斜角を求める。後半では周縁減光を入れる。深さは半径比の2乗に、惑星がいる点の明るさと円盤全体の平均との比を掛けたものになり、2つの波長で測った深さから、半径と傾斜角を分けて決める。出典はIOAA 2025のデータ解析試験の日本語訳。
光度曲線の底が丸いわけ
1から2まで、3から4までの斜面は、惑星が縁を越えるあいだの時間にあたる。惑星が大きいほど、また円盤の端寄りを通るほど長くなる。底の丸みの強さからは、周縁減光の度合いが読める。
影の大きさと通り道を変える
「半径比」を0.10から0.20に倍にすると、くぼみはほぼ4倍に深くなる。「軌道傾斜角」を90°から下げると、影は円盤の下寄りを通り、短く、浅くなる。半径比が最初の0.12のままなら、84°あたりより小さくすると影は縁にかかったまま抜け、82.8°を下回ると恒星にまったくかからない。「周縁減光」を切ると底は平らになり、の高さに引いた破線にぴたりと重なる。
暗さの割合を使う学問
- 天文学 系外惑星の大きさを求めるとき、くぼみの深さと恒星の半径からで出す。視線速度で測った質量と合わせると密度が分かり、ガスの惑星か岩石の惑星かを見分けられる。恒星の半径を見誤れば、惑星の半径も同じ割合で見誤る。
- 物理学 恒星の大気で光がどう伝わるかを調べるとき、光度曲線の底の丸みから周縁減光の度合いを読む。縁の暗さは色によって違い、青い光ほど強い。惑星が恒星の後ろに隠れる二次食では、くぼみがになり、惑星の昼側の明るさと温度が分かる。
- 工学 宇宙望遠鏡の測光装置を設計するとき、狙う惑星のから、明るさを測る精度の目標を決める。地球と太陽ならで、半日ほど続く影のあいだ、明るさを1万分の1より細かく測り続けなければならない。
大気の色と小さな星の惑星
- 2018〜2025年NASA(TESS):2018年4月18日、トランジット系外惑星探索衛星TESSを打ち上げ、地球に近い明るい星の前を横切る惑星を探している。NASAによれば、2回目の延長観測を終えた2025年9月の時点で、このミッションが見つけた惑星と惑星の候補は6,000近い。くぼみの深さからで惑星の半径を出し、大きさで候補をふるい分けられる。出典はNASA「TESS」。
- 2022年JWST早期観測プログラムのトランジット系外惑星チーム:7月10日、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡に積んだ近赤外線分光器NIRSpecで、ガス惑星WASP-39bのトランジットを約8時間観測した。波長ごとの深さを並べると、二酸化炭素が光を吸う4.1〜4.6 µmで深くなっていた。大気が光を吸う波長では惑星が少し大きく見え、見かけの半径がだけ増えると、深さはだけ増える。系外惑星の大気の二酸化炭素を、スペクトルの形からはっきり見分けた初めての観測である。出典はThe JWST Transiting Exoplanet Community Early Release Science Team「Identification of carbon dioxide in an exoplanet atmosphere」arXiv:2208.11692。
- 2023年NASAエイムズ研究センターのトーマス・グリーンらのチーム:JWSTの中間赤外線装置MIRIで、地球ほどの大きさの惑星TRAPPIST-1 bが恒星の後ろに隠れる二次食を、2022年11〜12月に5回観測した。波長15 µm付近で測ったくぼみは0.0861%だった。二次食の深さはで表せるので、論文が使った半径比0.08590を入れると、この波長での昼側の表面輝度は恒星のおよそ12%と出る(当サイトの計算)。昼側の温度は約500 Kで、熱を夜側へ運ぶ厚い大気はほとんど無いとみられる。出典はGreeneほか「Thermal emission from the Earth-sized exoplanet TRAPPIST-1 b using JWST」arXiv:2303.14849。
- 2024年アストロバイオロジーセンターと国立天文台などの研究チーム:12.76日で赤色矮星Gliese 12を回る、地球ほどの大きさの惑星Gliese 12 bを報告した。恒星までの距離は12パーセクである。TESSが見つけた候補を、MuSCAT2とMuSCAT3で確かめた。どちらも多色で同時に撮るカメラで、スペインのテイデ観測所とハワイのハレアカラ観測所の望遠鏡に付いている。同じ星系に食連星がひそみ、その光が混ざっている場合を計算しても、いくつもの色で測った深さと形は再現できず、惑星だと判断する根拠にもなった。半径比0.0336に恒星の半径(太陽の0.2617倍)を掛けると、惑星は地球の0.96倍の大きさになる。出典はKuzuharaほか「Gliese 12 b: A temperate Earth-sized planet at 12 pc ideal for atmospheric transmission spectroscopy」arXiv:2405.14708。
参考文献
- D. Charbonneau, T. M. Brown, D. W. Latham, M. Mayor, "Detection of Planetary Transits Across a Sun-like Star", The Astrophysical Journal 529 (2000), L45-L48. arXiv:astro-ph/9911436
- G. W. Henry, G. W. Marcy, R. P. Butler, S. S. Vogt, "A Transiting “51 Peg-like” Planet", The Astrophysical Journal 529 (2000), L41-L44.
- H. Knutson, D. Charbonneau, R. W. Noyes, T. M. Brown, R. L. Gilliland, "Using Stellar Limb-Darkening to Refine the Properties of HD 209458b", The Astrophysical Journal 655 (2007), 564-575. arXiv:astro-ph/0603542
- J. N. Winn, "Transits and Occultations", S. Seager編Exoplanets, University of Arizona Press (2010). arXiv:1001.2010
- D. Charbonneau, "Decoding Starlight to Learn the Secrets of Exoplanets", The Kavli Prize(2024年カブリ賞 天体物理学部門の受賞者の自伝)
- NASA Science, "Kepler / K2"・W. M. Keck Observatory, "Astronomers Witness Silhouette of Planet Crossing Distant Star"(1999年11月7日)
- 文部科学省『高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 理科編 理数編』(2018)、第1部 第2章 第9節「地学」3(4)ア(イ)㋐、177-178ページ