質量パーセント濃度

Mass percent concentration

ボーメの比重計の基準は、塩15に水85。足して100にしてあった。

質量パーセント濃度は、溶質の質量を溶液全体の質量で割って100を掛けた値である。分母を水だけにすると濃く見積もり、混ぜる計算は溶質の質量を足して解く。

年代
1768年(ボーメの比重計)
習う
中1・理科・身の回りの物質
レベル
基本(例題 4 問)
人物
アントワーヌ・ボーメ
作成日
更新日
執筆・監修
佐々木 航
起源

15と85を足して100

水100 gに食塩25 gを溶かした液の濃度は、25%ではなく20%である。割る数は水の100 gではなく、溶けたあとの全体125 gだからだ。

この数え方は、200年以上前の道具の目盛りに見つかる。1768年、フランスの化学者アントワーヌ・ボーメは、液体に浮かべて濃さを読む比重計を考案した。米国標準局の1942年の資料によると、ボーメが1797年の薬学書に記した基準の液は、重さで食塩15に水85を合わせたものである。

水100ではない。

足して100になる組み合わせなので、全体の15%が食塩の液になる。ボーメは蒸留水で沈んだ位置を0、この液で沈んだ位置を15とし、そのあいだを15等分した。

目盛りの数そのものを砂糖の重さの百分率にしたのは、バリングの比重計である。これをアドルフ・ブリックスが1854年に計算し直し、読みは「度ブリックス」と呼ばれるようになった。

途中の計算

溶液全体で割る

溶けているものを溶質、溶かしている液体を溶媒、2つを合わせた全体を溶液という。食塩水なら順に食塩、水、食塩水である。文部科学省の解説では、中学校第1学年の水溶液の学習で、濃さの表し方に質量パーセント濃度があることに触れるとしている。

冒頭の食塩水を公式に入れると、次のように進む。

  1. 溶液の質量は溶媒と溶質の和になる

  2. 溶質が溶液全体に占める割合を出す

  3. 100を掛けて百分率にする

125 gの溶液を25 gずつ5つに分けると、食塩はそのうちの1つにあたる。だから濃度は5分の1、つまり20%である。

なぜ水で割らないのか。溶液はどこをすくっても同じ濃さなので、全体に占める割合で表しておくと、取り分けても数が変わらないからだ。20%の食塩水を50 g取れば、中の食塩は gとすぐに出る。水で割った0.25を掛けても計算はできるが、12.5 gとなって実際より多い。

公式を溶質の質量について解いておくと、この計算がそのまま使える。

  1. 公式の両辺に溶液の質量を掛ける

  2. 両辺を100で割る

  3. 8%の食塩水150 gの値を入れる

  4. 残りが水になる

では、濃さの違う食塩水を混ぜるとどうなるか。中1の理科で触れるのは濃さの表し方までで、混ぜる計算はその先の応用にあたる。10%の食塩水100 gと4%の食塩水300 gで計算する。濃度どうしを足したり平均したりせず、溶質の質量を追えばよい。

  1. 手順5で、10%の液の食塩を出す

  2. 手順5で、4%の液の食塩を出す

  3. 食塩の質量を足す

  4. 溶液の質量を足す

  5. 公式に入れる

横を溶液の質量、縦を濃度にとると、長方形の面積が食塩の質量になる。2つの面積を合わせて横幅400 gにならすと、高さは5.5%になる。

答えは10%と4%の平均の7%にならない。薄いほうの液が3倍多いからで、2つの液の質量が等しいときだけ、濃度の平均と一致する。

溶質の質量を追うやり方は、ほかの操作にも使える。水を足すなら濃度0%の液を混ぜると考えればよいし、水を蒸発させるなら溶質がそのままで溶液だけが減る。

応用

同じ「%」でも分母が違う

分母の取り違えは、作業の現場でも数字を大きく動かす。福島県郡山市などが2025年3月に出した稲作の通信によると、うるちの種もみを選ぶ塩水は、水10リットルに食塩2.1 kgで作る。水1リットルを1 kgとして濃度を出す。

水だけで割った21%とは、3.6ポイントも違う。ただし、現場の濃さは計算だけでは決まらない。同じ通信は、水温や吸湿で比重が変わるので比重計で測るのが原則だと注意している。液に浮かべて濃さを読む道具は、今も田植えの準備に使われている。

医薬品の表示には、分母が質量でない%もある。第十八改正日本薬局方の通則では、%は質量百分率、vol%は体積百分率、w/v%は質量対容量百分率を表す。生理食塩液の0.85〜0.95 w/v%は、製法でいえば塩化ナトリウム9 gに水を加えて全量1,000 mLにした液で、溶液の体積で割っている。消毒用エタノールの76.9〜81.4 vol%は、体積どうしの割合である。どちらも質量パーセント濃度とは別の量だ。

そもそも「%」の記号だけでは、何の割合か分からない。国際単位系の文書には、「質量による百分率」のような言い方を使わず、量の種類は量の説明と記号で示すよう書かれている。%は100分の1を表す数でしかない。100万分の1を表すppmも同じ考え方で、1%は10,000 ppmにあたる。

溶解度も分母が違う。水100 gあたりの質量で示すので、濃度に直すには溶液全体で割り直す。だから「%」に出会ったら、何で割った数かを問えばよい。

例題と解説

溶質の質量を追いかける

例題 1基本分母を溶液にする

水170 gに砂糖30 gを溶かした砂糖水の質量パーセント濃度を求めよ。

解説を見る

溶液の質量は gである。

水の170 gで割ると約17.6%になり、濃く見積もってしまう。

例題 2基本必要な食塩と水

12%の食塩水を250 gつくるには、食塩と水がそれぞれ何g必要か。

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手順5の形で食塩の質量を出す。

残りが水なので、 gである。

例題 3入試濃さの違う液を混ぜて薄める

10%の食塩水と4%の食塩水を混ぜて、6%の食塩水を300 gつくる。それぞれ何g混ぜればよいか。

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10%の食塩水を gとすると、4%の食塩水は gである。できる液の食塩は gなので、食塩の質量について式を立てる。

かっこを外して整理する。

10%の食塩水を100 g、4%の食塩水を200 g混ぜればよい。

例題 4入試取り出して水を足す

20%の食塩水400 gから100 gを取り出し、代わりに水100 gを加えてよくかき混ぜる。(1)この操作を1回したあとの濃度を求めよ。(2)同じ操作をもう1回したあとの濃度を求めよ。

解説を見る

(1)はじめの食塩は gである。取り出す100 gの中に gあるので、残る食塩は60 gになる。水を足しても溶液は400 gのままだ。

(2)今度は取り出す100 gに gの食塩がある。残りは45 gになる。

1回ごとに、食塩は4分の3倍になる。

入試・大会での出題

薄める問い、割り直す問い

参考文献

  1. 文部科学省『中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 理科編』(2017)、第2章 第2節 第1分野2(2)ア(イ)㋐ 水溶液、37-38ページ
  2. F. J. Bates and Associates, Polarimetry, Saccharimetry and the Sugars, Circular of the National Bureau of Standards C440 (1942), p. 248(ボーメ、バリング、ブリックスの目盛り)
  3. 郡山市ほか「『こおりやまの米』通信Vol.1播種準備編」(2025年3月)、PDF
  4. 厚生労働省『第十八改正日本薬局方』(2021)、通則、医薬品各条「生理食塩液」「消毒用エタノール」
  5. Bureau International des Poids et Mesures, The International System of Units (SI), 9th ed. (2019), Section 5.4.7, https://www.bipm.org/documents/20126/41483022/SI-Brochure-9-EN.pdf
  6. 東京都教育委員会「令和8年度都立高等学校入学者選抜 学力検査問題及び正答表」、大学入試センター「令和6年度 大学入学共通テスト 追・再試験 化学」「令和8年度 大学入学共通テスト 追・再試験 化学」

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この記事は、人が監修しながらAIを活用して執筆した。執筆・監修: 佐々木 航(株式会社Game)。

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