線分を切って正方形を分ける
紀元前300年ごろのエウクレイデス(ユークリッド)の『原論』に、この公式のもとになる命題がある。第2巻命題4は、線分を好きな点で2つに分けると、全体の上の正方形は、2つの部分の上の正方形の和に、2つの部分でつくる長方形の2倍を足したものに等しい、と述べる。いまの式で書けばである。辺を3つに分けて同じことをすると、正方形は9つの区画に分かれ、この公式になる。
2つの項を1つの文字にまとめる
をひとまとまりとみて、中学校で習った乗法公式を2回使う。
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を1つの文字に置き換える
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乗法公式で展開する
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をに戻す
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を展開し、を分配する
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2乗の項と2倍の項に分け、をと書いて並べる
学習指導要領の解説は、数学Iの「数と式」の例として、一つの文字に置き換えて複雑な式を簡単な式に帰着させる扱い方を挙げている。手順1の置き換えが、それにあたる。解説は、中学校の乗法公式のほかに数学Iで新しく扱う公式をだけとしている。3つの項の2乗は、覚える公式を増やさなくても、この置き換えで導ける。
を分配法則で展開すると、2つのかっこから1項ずつ選んで掛けた積が個並ぶ。とのように同じ積が2回ずつ出るので、2乗の3項と2倍の3項の合わせて6項にまとまる。左辺は、、をどう入れ替えても変わらないので、右辺も入れ替えで変わらない対称な形になる。最後のは、と順に回す輪環の順に並べてあり、この順に書くと項の書き落としに気づきやすい。
和と積から2乗の和を出す
公式を逆向きに使うと、2乗の和を、和と2つずつの積で表せる。
たとえば、なら、で、1、2、3の2乗の和と合う。数学Cで習うベクトルでも同じ形が出る。3つのベクトルの和の大きさの2乗は
で、積の代わりに内積が入る。物理で3つの力を合わせるとき、合力の大きさはこの式で、それぞれの力の大きさと、2つずつの力の内積から求める。項が個に増えても、2乗が個と、2つずつの組の積の2倍が組並ぶ。
展開・因数分解・式の値
例題 1基本3つの項の展開
を展開せよ。
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、、とみて公式に当てはめる。
例題 2基本公式を逆に使う因数分解
を因数分解せよ。
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2乗の項は、、である。2倍の項が、、とすべてそろうので
例題 3基本和と2乗の和から積の和
、のとき、の値を求めよ。
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に代入するとなので
たとえば、、がこの条件を満たし、になる。
例題 4入試4乗の和
実数、、が、を満たすとき、との値を求めよ。
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公式からなのでである。
次に、、、の3つを項とみて同じ公式を使う。
かっこの中はなので、である。さらに、、を項とみると
、で確かめると、になる。
参考文献
- 文部科学省『高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 数学編 理数編』(2018)、第1部 第2章 第1節「数学I」3(1)数と式、37ページ
- 文部科学省『中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 数学編』(2017)、第3学年A(2)簡単な多項式、137ページ
- Euclid, Elements, Book II, Proposition 4, D. E. Joyce (ed.), Clark University, https://mathcs.clarku.edu/~djoyce/elements/bookII/propII4.html