ボイル・シャルルの法則

Combined gas law

2倍の圧力と1.2倍の絶対温度で、気体の体積は0.6倍に縮む。

閉じ込めた気体ではpV/Tが一定で、圧力、体積、温度がそろって変わる前後の2つの状態を1本の式で結べる。温度は絶対温度で入れ、気体が出入りするときには使えない。

年代
1662年と1802年(2つの法則のもとになった測定)
習う
高2・化学・物質の状態と平衡
レベル
基本(例題 4 問)
人物
ロバート・ボイル、ジャック・シャルル、ジョゼフ・ルイ・ゲイ=リュサック
作成日
更新日
執筆・監修
佐々木 航
起源

2本の法則を掛け合わせる

閉じ込めた気体の圧力を2倍にし、同時に絶対温度を1.2倍にすると、体積は0.6倍になる。圧力の効き目だけなら体積は倍、温度の効き目だけなら1.2倍で、2つを掛けたが答えだ。ボイル・シャルルの法則は、この掛け算をの1本の式にしたものである。

もとになった2本の法則には、それぞれ測定の歴史がある。Jの字の管で空気を押し縮めた表はボイルの法則で、シャルルが結果を発表しなかった事情はシャルルの法則で読める。物質量まで入れた式へ進む一歩は、理想気体の状態方程式でたどれる。

途中の計算

途中に1つ状態をはさむ

は圧力、は体積、は絶対温度を表す。物質量を変えずに、状態1(、、)を状態2(、、)に移すとする。3つを一度に動かさず、温度はのまま圧力だけをにした途中の状態を考え、その体積をとおく。

  1. 状態1から途中まで、温度一定でボイルの法則を使う

  2. 途中の体積を求める

  3. 途中から状態2まで、圧力一定でシャルルの法則を使う

  4. 手順2のを代入する

  5. 両辺にを掛ける

  6. 状態1と状態2はどれを選んでもよい

圧力pと体積Vのグラフ。状態1から温度一定の曲線に沿って途中の状態へ進み、圧力p₂のまま横に動いて状態2に着く。

ただし、途中の状態は計算のための足場にすぎない。気体が実際にこの道を通るわけではないが、先に圧力一定で温度を変え、あとから温度一定で圧力を変えても、手順5と同じ式にたどり着く。の値は状態だけで決まり、通った道によらないからだ。

手順5をについて解くと、となる。つまり、もとの体積に「圧力の比」と「温度の比」を順に掛ければよく、冒頭の0.6倍はこの2つの比を掛けた値にあたる。

応用

そろえる単位、変えてはいけない物質量

単位の取り違えがいちばん大きく効くのは温度である。1.0 atm、27 °C、2.0 Lの気体を2.0 atm、77 °Cにすると、体積は次のようになる。

温度を°Cのままとして入れても計算はできてしまうが、答えは2.85 Lになり、2倍以上も外れる。が一定になるのは、温度を0 Kから、圧力を真空から測ったときだけである。つまり、温度は絶対温度で、圧力は圧力計の読みに大気圧を足した絶対圧で入れる。0の位置さえそろえば、単位の大きさは比で消える。圧力をatmからkPaに直してもで、比は変わらない。

温度と圧力が一緒に動く身近な例は、注射器や空気入れを速く押す場面である。先をふさいだ注射器に Pa、20 °Cの空気を30 mL閉じ込め、15 mLまで一気に押し込んだとする。温度が50 °Cに上がったなら、圧力は次のようになる。

ボイルの法則だけで見積もった Paより1割高い。押さえたまま熱が逃げて20 °Cに戻れば、圧力も Paまで下がる。

では、この式が使えないのはどんなときか。気体の量が変わるときである。は物質量に比例するので、タイヤに空気を足す、ボンベから気体を出す、反応で分子の数が変わる、といった場面では一定にならない。なら、3分子が2分子に減る。このときはに物質量を入れて計算する。問題文に「コックを開く」「燃焼させる」「一部を取り出す」とあれば、物質量が変わっていないかを先に考えると迷わない。

例題と解説

シリンダーとボンベで3つの量を動かす

例題 1基本圧力と温度を上げたときの体積

Pa、27 °C、3.0 Lの気体を、 Pa、127 °Cにした。物質量は変わらないものとして、体積を求めよ。

解説を見る

温度をケルビンに直すと、27 °Cは300 K、127 °Cは400 Kになる。

例題 2基本温度を求める

1.0 atm、27 °C、6.0 Lの気体を、物質量を変えずに1.5 atm、5.0 Lにした。温度は何 °Cになったか。

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27 °Cを300 Kに直し、手順5をについて解く。

セルシウス温度では °Cである。

例題 3入試ボンベに残った気体

容積10 Lのボンベに、27 °C、 Paの気体が入っていた。気体の一部を使ったあと、ボンベを47 °Cの部屋に置くと、圧力は Paになった。圧力はどちらも真空を0とした値である。(1)前後の状態をボイル・シャルルの法則で結べない理由を述べよ。(2)使った気体ははじめの量の何%か。

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(1)気体を使ったので、物質量が変わっている。は物質量に比例するので、前後で等しくならない。 (2)体積は同じ10 Lなので、物質量はに比例する。残った割合は次のとおり。

残りが60%なので、使った気体は40%である。

例題 4入試おもりを足して温めるピストン

なめらかに動くピストンでシリンダーに気体を閉じ込めた。はじめ気体は7 °C、 Paで、ピストンは底から20 cmの高さにある。ピストンにおもりを足して気体の圧力を Paにし、同時に77 °Cまで温めた。(1)ピストンの高さを求めよ。(2)温めずにおもりを足しただけなら、高さはいくらか。

解説を見る

(1)断面積が一定なので、体積の比は高さの比に等しい。7 °Cは280 K、77 °Cは350 Kである。

圧力と絶対温度がどちらも1.25倍になり、2つの効き目が打ち消し合って高さは変わらない。 (2)温度が280 Kのままなら、圧力の比だけが効く。

入試・大会での出題

3つの量が同時に動く出題

  • 2024年 大学入学共通テスト 追試験 化学 第1問 問3:乾燥空気を圧縮すると、体積が小さくなると同時に温度も上がる。はじめの温度と圧力、圧縮後の体積の割合と温度から、圧縮後の圧力を選ぶ。出典は大学入試センター「令和6年度 追・再試験の問題」。
  • 2025年 大学入学共通テスト 本試験 物理 第1問 問1:山頂でふたをした空のペットボトルが、ふもとでへこむ現象を注射器で調べる。山頂とふもとの大気圧と絶対温度、注射器に閉じ込めた空気が縮んだ体積から、山頂の大気圧を表す式を選ぶ。出典は大学入試センター「令和7年度 本試験の問題」。

参考文献

  1. 文部科学省『高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 理科編 理数編』(2018)、第1部 第2章 第5節「化学」3(1)ア(ア)㋑、99-101ページ。第3節「物理」3(1)ア(オ)㋐、69ページ
  2. R. Boyle, "A Defence of the Doctrine Touching the Spring and Weight of the Air" (1662)。表の転載はChemTeam「Robert Boyle and His Data」
  3. J. L. Gay-Lussac, Annales de chimie 43 (1802), 137。英訳の抜粋はLe Moyne College「The Expansion of Gases by Heat」
  4. Bureau International des Poids et Mesures, The International System of Units (SI), 9th edition(2019)、2.3.1節(セルシウス温度と熱力学温度の関係)
  5. 大学入試センター「令和6年度 大学入学共通テスト 追・再試験 化学」
  6. 大学入試センター「令和7年度 大学入学共通テスト 本試験 物理」

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この記事は、人が監修しながらAIを活用して執筆した。執筆・監修: 佐々木 航(株式会社Game)。

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