1.7秒遅れたガンマ線
2017年8月17日12時41分06秒(協定世界時)、NASAのフェルミ衛星に積まれたガンマ線バーストモニターが、ガンマ線の短い増光をとらえた。その2秒足らず前、同じ方向から来た重力波が、すでに地球を通り過ぎていた。1億3000万光年の旅のあとで2つの到着が1.74秒しか離れていないなら、重力の伝わる速さと光の速さの違いは、光の速さの1000兆分の3を超えない。
旅にかかった時間を秒に直すと約秒になり、1.74秒はそのおよそ2400兆分の1にあたる。
地球を1周する4万キロメートルの道に直せば、17ナノメートルの差である。
方向は衛星の上で自動で計算され、14秒後には、ガンマ線座標ネットワーク(GCN)で世界の天文台に通知が流れた。のちにGRB 170817Aと名づけられるガンマ線バーストである。

約6分後、休みなく動く探索のプログラムによって、ワシントン州ハンフォードにあるLIGOの検出器のデータから重力波の候補が見つかった。解析で求めた合体の時刻は12時41分04秒。もう1台のリビングストンの検出器では、合体の1.1秒前に短い雑音が入ったため、自動の解析では2台の一致を登録できなかったのである。それでも、データを図にすると、2台のどちらにも、振動数が上がっていく長いチャープの形がはっきり写っていた。

13時08分、1台だけでとらえた重力波の候補の通知が出た。それまで、1台だけの候補をすぐに外へ配ったことはない。13時21分には、ガンマ線と時刻が重なることから、中性子星の合体と見られる確かな候補がある、という回報が続いた。
ヨーロッパのVirgoが観測に加わって16日後、LIGOの2回目の観測期間が終わる8日前のことだった。Virgoの信号は弱かったが、その弱さが手がかりになり、源はVirgoから見えにくい方向にあると絞り込めた。LIGOの2台だけでは190平方度あった空の範囲は、3台を合わせると31平方度に縮み、距離はおよそ4000万パーセクと出た。
チリのラス・カンパナス天文台では、合体の10.87時間後、口径1 mのスウォープ望遠鏡が銀河NGC 4993に新しい光の点を写した。この銀河の遠ざかる速さから出した距離は42.9 ± 3.2 Mpcで、重力波だけで出した値と合っている。

ガンマ線の始まりは、時刻を地球の中心に届いた時刻にそろえて測り直すと、合体の1.74 ± 0.05秒後になる。2つが偶然これほど近い時刻と方向で重なる確率はと見積もられている。2017年10月16日に公開された論文には、こうある。「1億光年を超える距離を旅して、到着の遅れがわずか数秒だったことは、基本原理からのずれに厳しい制限を課す」。
では、重力が光と同じ速さで伝わるという考えは、昔から当たり前だったのだろうか。
月の動きと「思考の速さ」
重力の速さを早くから数で論じた1人に、フランスのピエール=シモン・ラプラスがいる。ニュートンの万有引力の式では、離れた物どうしが瞬時に引き合う。科学史家のダニエル・ケネフィックによると、ラプラスは1776年、重力が有限の速さで伝わるときに起きる軌道の減衰を考えた。古代の日食の記録と比べて、月の公転周期が縮んで見える謎を説明するためである。

のちにラプラスは、月の動きはほかの重力の効果で説明がつくと結論した。物理学者のスティーヴン・カーリップによると、ラプラスは1805年、月の運動から、重力の速さは少なくとも光の700万倍あるはずだと見積もっている。つまりラプラスの見積もりでは、重力は瞬時に伝わるか、光よりはるかに速く伝わる。
ニュートンの重力に光の速さの遅れを書き足すだけだと、太陽系の惑星の軌道は100年ほどで大きくずれてしまう、ともカーリップは書いている。
答えを書き換えたのは一般相対性理論である。アインシュタイン方程式では重力の変化は光の速さで伝わり、アルベルト・アインシュタインが1916年に導いた重力波も光の速さで進む。それでも軌道が崩れないのは、源の速度によって変わる力の項が、遅れの効果をほとんど打ち消すからだ。カーリップは2000年の論文で、この打ち消し合いを計算で示した。

1922年、イギリスのアーサー・エディントンは、重力波は「思考の速さ」で伝わると書いたことで知られる。ただしエディントンが退けたのは、座標の取り方だけで現れる見かけの波だった。エネルギーを運ぶ本物の横波まで疑ったわけではない、とケネフィックは説明している。
では、本物の重力波の速さは測られたのか。長いあいだ、答えは否だった。
2015年に重力波が初めてとらえられてからも、観測で速さを測る手がかりは、離れた検出器に届く時刻の差だけだった。アメリカの2台のLIGOは光で約10ミリ秒の距離にあり、届く時刻の差は波の速さと来た方向で決まる。ニール・コーニッシュらは2017年7月、それまでの3回の観測から、重力波の速さは光の0.55倍から1.42倍のあいだ(確率90%)と報告した。
光と比べる案は、その前からあった。2014年、カリフォルニア工科大学の西澤篤志と京都大学の中村卓史は、中性子星の合体から来る重力波とガンマ線の到着時刻を比べれば、速さの差をほどの精度で測れると見積もった。源で光が遅れて出る分は、距離の違う源をいくつも比べれば見分けられる、とも提案している。
宇宙論の側にも、答えを待つ理由があった。宇宙の膨張が加速しているとわかってから、それを重力の理論を変えて説明する案が数多く出され、そうした理論では重力波の速さが光とずれやすい。ルーカス・ロンブリザーとアンディ・テイラーは2016年の論文で、銀河の分布などでは宇宙定数と見分けがつかないホルンデスキ型の理論を1つ挙げた。この理論が自ら膨張を加速させるなら、いまの宇宙を伝わる重力波の速さは光の95%を下回る。2人は、同じずれがこの種の理論に広く現れると論じている。
旅でついた差を速さの差に直す
源から地球までの距離を、重力波の速さを、光の速さをとする。は電磁波の速さで、マクスウェル方程式の2つの定数からと決まる。合体のときを時刻0として、重力波はそのときに出て、ガンマ線はだけ遅れて出たとする。源の赤方偏移は約0.008と小さいので、宇宙の膨張は入れない。
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重力波が地球に着く時刻は
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ガンマ線が地球に着く時刻は
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地球で測る差は、出たときの差と、旅でついた差の和になる。
横に距離、縦に時刻をとると、重力波(実線)とガンマ線(破線)の道すじが描ける。地球での差は、源で出た時刻の差に、旅でついた差を足したものになる(差は大きく描いた)。 -
速さの差の割合をと置く。なので、旅でついた差は
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は1よりずっと小さいので、分母のを1と置く。捨てた分はの大きさしかない。
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について解くと、論文の式になる。
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測った値は秒である。は測れないので、0秒から10秒のどこかと仮定すると、分子の範囲は
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分子が同じなら、が小さいほどは大きく出る。結論を強く言いすぎないよう、重力波から出した距離のうち、90%の範囲の下の端にあたる Mpcを入れる。
光が出るまでの遅れを0秒から10秒まで動かすと、旅でついた差は+1.74秒から−8.26秒まで変わる。遅れが1.74秒ちょうどなら、2つの速さは同じでよい。
10秒という幅には理由がある。中性子星の合体では、ジェットを噴き出す中心エンジンが数秒でできて、ジェットが外へ抜けるまでの遅れも長くてガンマ線バーストの長さほどと予想されていた。論文はこの「数秒」に余裕を持たせて、10秒と置いた。
上の端は、2つが同時に出て1.74秒のすべてが旅でついたと見たときの値で、重力波のほうが速い向きの限界になる。下の端は、光が10秒遅れて出て旅の途中で8.26秒追い上げたと見たときの値で、光のほうが速い向きの限界である。
2つの端の大きさが4倍以上違うのは、上の端には1.74秒が、下の端には8.26秒が入るからだ。10秒という仮定は、下の端だけを決めている。
もっとも、合体の前にガンマ線が出る説や、もっと長い遅れを考える説もある。論文によると、遅れの幅を−100秒から1000秒まで広げれば、許される範囲は両側とも2桁広がる。
26メガパーセクと10秒を入れる
証明の手順8の両端を、電卓で追える形にする。1 pcは m、光の速さは m/sとする。
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距離をメートルに直す
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光がこの距離を進む時間を出す
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同時に出たとして上の端を出す
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測定の誤差0.05秒を足した値も出す
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光が10秒遅れて出たとして下の端を出す
秒は約8500万年にあたる。論文のとは、手順3と5の値を1桁に丸めたものにあたる。誤差の0.05秒を足しても、上の端は7のままだ。冒頭の「2400兆分の1」は、距離を中央の値の40 Mpcとし、2つが同時に出たと見たときのだった。距離を26 Mpcまで縮めて見積もった分、論文の上限はそれより1.5倍以上ゆるい。
光の95%という予言
重力波の速さが光とずれていたら、どれだけの差になったのか。ロンブリザーとテイラーが挙げた理論の予言をあてはめ、重力波が光の95%の速さで進むとしてみる。40 Mpcの旅は光で1億3000万年かかり、重力波はその倍、約1.053倍の時間をかける。当サイトで計算すると、重力波はガンマ線より約690万年遅れて届く。予言の「95%未満」のとおりなら、遅れはさらに長い。
1.74秒と690万年。予言と観測はそれだけ離れていた。
理論の側では、宇宙を進む重力波を次の式で表すことが多い。は重力波の振幅、は宇宙の膨張率、は波数で、点は時間の微分である。
がゼロでなければ、重力波の速さはになり、となる。つまり、GW170817からは、の大きさがおよそを超えないことがわかる。
観測が公表された日から翌日にかけて、この結果を使った理論の論文が少なくとも4本、プレプリントサーバーのarXivに出た。12月18日には、4本が『フィジカル・レビュー・レターズ』の同じ号に続けて載っている。
パオロ・クレミネッリとフィリッポ・ヴェルニッツィは、スカラー場を1つ加えた理論を、代表のホルンデスキ理論からその拡張まで調べた。2人が求めたのは、物質の量を少し変えた宇宙でも重力波が光の速さで進むこと、つまり係数を微調整しなくても済むことだった。この条件を置くと、4次と5次の項を決める3つの関数のうち1つしか残らず、ホルンデスキ理論では、リッチスカラーにスカラー場の関数を掛けただけの形に戻る。
ホセ・マリア・エスキアガとミゲル・スマラカレギは、論文の題に「行き止まり」と入れた。宇宙定数なしで膨張を加速させる共変ガリレオン理論は、いまの宇宙に当てはめる道が断たれた、と2人は書いている。残る道として挙げたのは、ホルンデスキ理論の最も単純な項だけを使うこと、因果構造を保つ共形変換をかけること、速さを変える項どうしを打ち消し合わせることの3つだった。
4本がわずか2日のうちに出そろったのは、この測定を見越して備えていた研究者が多かったからかもしれない。2014年の西澤と中村の提案や、2016年のロンブリザーとテイラーの論文のように、光と比べる測定とその意味は、前から論じられていた。
ただし、この絞り込みには前提がある。GW170817で測ったのは、数十Hzから数百Hzの重力波だ。100 Hzの重力波の波長は約3000 kmで、宇宙の大きさの現象と比べればずっと短い。
2018年、クラウディア・デ・ラームとスコット・メルヴィルは、暗黒エネルギーの理論の多くで、この振動数が理論の使える上限(カットオフ)に近いと指摘した。上限の近くでは、低い振動数で光とずれていた重力波の速さが、光の速さに戻ることもありうる。2人は、宇宙に置く検出器LISAやパルサーを使う観測で、こうした理論を試せるとしている。
距離と遅れから速さの差を出す
例題 1基本光で1億3000万年の旅
距離40 Mpcの源から、重力波と光が同時に出た。1 pc = m、 m/s、1年 = sとする。(1)光が地球に着くまでの時間を、秒と年で求めよ。(2)重力波が光より1.7秒早く着いたとき、を有効数字2桁で求めよ。
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(1)距離をメートルに直してから、光の速さで割る。
1年で割ると年で、約1億3000万年になる。
(2)同時に出たのでとし、証明の手順6に入れる。
例題 2基本光の95%なら
例題1と同じ源で、重力波の速さが光の0.95倍だったとする。重力波は光より何年遅れて着くか。有効数字2桁で求めよ。
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重力波の旅の時間はなので、差は次のとおり。
1年で割ると年になり、約690万年遅れる。速さが5%違うだけで、到着は旅の時間の約5%遅れる。
例題 3入試遅れを2つの源で分ける
仮の数で考える。同じ種類の合体を2回観測した。距離40 Mpcの源Aでは光が重力波の1.74秒後に、距離400 Mpcの源Bでは1.80秒後に着いた。光が出るまでの遅れは2回とも同じで、も同じとする。源Aでは s、源Bではその10倍とし、宇宙の膨張は考えない。とを求めよ。
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証明の手順5から、どちらの源でもが成り立つ。
下の式から上の式を引くと、が消える。
上の式に戻すと、秒である。距離に比例して増える分が速さの差で、距離によらない分が源での遅れになる。実際の源は1つずつ遅れが違うので、たくさんの源を集めて統計で見分ける。
例題 4難関遅れの幅を広げると
証明の手順7で、の範囲を−100秒から1000秒に広げる。 Mpc( s)として、の範囲を有効数字2桁で求めよ。また、0秒から10秒としたときの範囲と比べよ。
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分子のは、のとき最小、のとき最大になる。
で割る。
0秒から10秒のときはからなので、下の端は約120倍、上の端は約58倍に広がる。どちらも2桁近い差で、論文の「両側とも2桁広がる」と合う。
例題 5大学αTに直す
重力波の速さをと書く。(1)のとき、との関係を1次まで求めよ。(2)を、の範囲に直せ。
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(1)のときなので
で、である。
(2)各辺を2倍する。
例題2の0.95倍の速さはにあたるので、この範囲はそれより13桁以上小さい。
近い源ほどゆるくなる上限
たとえば、1万パーセクの源で同じ1.74秒の差が出ても、上限はにとどまる。逆に、400 Mpcの源で同じことが起きれば、上限は40 Mpcのときの10分の1になる。
冒頭の通報の流れは、ガンマ線の1.74秒から光る点の10.9時間まで、合体からの時間で4桁あまりにわたる。
1億年の旅を走らせる
距離と、速さの差の割合の桁と向きを選ぶと、重力波と光が同時に出たときに地球で開く時刻の差が出る。下の目盛りの斜線は、GW170817で許されるの範囲を、いまの距離での時刻の差に直したものだ。「40 Mpcで1.74秒にする」を押すと、GW170817の差をすべて速さの差とみたときのになる。宇宙の膨張は入れていないので、1 Gpcに近い遠い源では目安にとどまる。
光と同じ速さを前提にする学問
- 物理学 重力の新しい理論を作るときは、重力波が光と同じ速さで進むことを、まず満たすべき条件として置く。GW170817の論文は同じ1.74秒から、ローレンツ対称性の破れを表す係数の上限を、向きによらない項で10桁以上厳しくした。銀河系の重力で重力波と光が同じだけ遅れるかも比べ、シャピロ遅延の係数の差をからの範囲に抑えている。
- 天文学 重力波とガンマ線を両方とらえたときは、到着の差を、源の中で起きたことの時間として読む。速さが同じなら、1.74秒は合体からガンマ線が見えるまでの時間になる。論文は遅れのすべてをジェットが進む時間とみて、ジェットの速さを表すローレンツ因子を100未満と置き、中心からガンマ線を出した場所までを約30天文単位以下と見積もった。重力波の振幅から距離を測るとき(重力波のチャープ質量)も、重力波が光と同じように宇宙を進むことが前提になる。
- 工学 離れた検出器と人工衛星の時刻を比べるときは、信号が地球の中心に届いた時刻にそろえて直す。GW170817では源の方向から計算して、フェルミ衛星では3.176ミリ秒、INTEGRAL衛星では148.96ミリ秒の補正を入れた。1.74 ± 0.05秒はこうした補正をすべて済ませたあとの値である。
振動数を変えて測り直す
- 2022年 イアン・ハリーとヨハネス・ノラー(ポーツマス大学ほか) 重力波の速さが振動数によって変わり、LIGOの帯域より低いところで光とずれる型の理論を調べた。速さが振動数で変わると、振動数ごとに旅でつく差が変わり、波形の位相がずれる。2人がGW170817の波形のデータから見積もると、許されるずれは、100 Hzでより小さく、500 Hzでより小さい。速さが振動数によらない場合のより厳しい(arXiv:2207.10096)。
- 2024年 アナリヤ・レイら(ウィスコンシン大学ミルウォーキー校、カールトン・カレッジ) 光の手がかりを使わず、重力波だけで速さを測り直した。O1からO3の観測で2台以上がとらえた52回について、検出器どうしの到着時刻の差と波の来た方向からを求め、合わせると(確率90%)になった。2017年のコーニッシュらの0.55倍から1.42倍と比べて、幅は約20分の1に縮んだ(arXiv:2307.13099)。
- 2024年 欧州宇宙機関(ESA) 宇宙に置く重力波望遠鏡LISAの計画を、1月25日に正式に採択した。3機の探査機が1辺250万キロメートルの三角形をつくってレーザーを送り合い、地上より低い振動数の重力波をとらえる。打ち上げは2035年の予定である。低い振動数で重力波の速さが光からずれる型の理論について、LISAの宇宙論の作業部会は2022年の論文で見通しを出した。光の手がかりがなくても、厳しい制限をつけられるという(ESAの発表、arXiv:2203.00566)。
- 2026年LIGOとVirgo、KAGRAの共同研究 重力波の目録GWTC-4.0にある142の源から、宇宙の膨張率を調べた。この論文は、重力波の速さを光と同じと置いている。根拠はGW170817の結果で、赤方偏移0.9までのあいだに速さの差がから何桁も大きくなる理論でない限り、この置き方でよいとしている。そのうえで、を含む摩擦の項の効果を、重力波と光で測った距離の比で表し、(68%の範囲)を得た。一般相対性理論なら1になる値である。共同研究には、日本のKAGRAも加わっている(arXiv:2509.04348)。
参考文献
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- B. P. Abbott et al., "GW170817: Observation of Gravitational Waves from a Binary Neutron Star Inspiral", Physical Review Letters 119 (2017), 161101; B. P. Abbott et al., "Multi-messenger Observations of a Binary Neutron Star Merger", The Astrophysical Journal Letters 848 (2017), L12; A. Goldstein et al., 同L14; V. Savchenko et al., 同L15.
- T. Baker et al., Physical Review Letters 119 (2017), 251301; P. Creminelli, F. Vernizzi, 同251302; J. Sakstein, B. Jain, 同251303; J. M. Ezquiaga, M. Zumalacárregui, "Dark Energy After GW170817: Dead Ends and the Road Ahead", 同251304.
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- N. Cornish, D. Blas, G. Nardini, "Bounding the Speed of Gravity with Gravitational Wave Observations", Physical Review Letters 119 (2017), 161102; A. Nishizawa, T. Nakamura, "Measuring speed of gravitational waves by observations of photons and neutrinos from compact binary mergers and supernovae", Physical Review D 90 (2014), 044048.
- S. Carlip, "Aberration and the speed of gravity", Physics Letters A 267 (2000), 81-87; D. Kennefick, "Controversies in the History of the Radiation Reaction problem in General Relativity", arXiv:gr-qc/9704002 (1997); A. S. Eddington, "The propagation of gravitational waves", Proceedings of the Royal Society A 102 (1922), 268-282.
- I. Harry, J. Noller, General Relativity and Gravitation 54 (2022), 133; A. Ray et al., Physical Review D 110 (2024), 122001; T. Baker et al., Journal of Cosmology and Astroparticle Physics 2022 (08), 031; LIGO Scientific Collaboration, Virgo Collaboration, KAGRA Collaboration, The Astrophysical Journal Letters 1007 (2026), L17; ESA, "Capturing the ripples of spacetime: LISA gets go-ahead"(2024年1月25日)