最多は2回だった
必答問題に2年続けて出た公式は、13個だった。
2027年1月16日の本試験まで、2026年11月1日の時点で76日ある。公式帳を1ページ目から覚え直すには短い。では、何から手を付けるのか。筆者は2026年(令和8年度)と2025年(令和7年度)の本試験を大学入試センターの公開ページから取り、数学I、数学Aの冊子と数学II、数学B、数学Cの冊子を解いて、使った公式を1つずつ表に付けた。以下、数IAと数IIBCと呼ぶ。
どちらも今の課程の問題で、数えた単位は26。延べ74回、54種類の公式が出てきた。いちばん多い公式でも2回である。
「よく出る」と聞いたら、何年分の、どの問題で、何回なのかを確かめたくなる。ここでは全部を数え、記録を記事の終わりに載せた。ただし2年分だ。来年も同じ公式が出るとは、この数からは言えない。
何を1回と数えたか
単位は大問とする。第1問〔1〕と〔2〕のように分かれている大問だけ、〔 〕ごとに1単位にした。同じ単位で同じ公式を何度使っても1回である。
公式と呼ぶのは、名前か式の形で覚える定理、公式、定義の式だ。問題の誘導どおりに解いて実際に使ったものだけを数え、別の解き方なら使える公式は数えない。途中の主な答えは、大学入試センターが公開している正解と照らした。
判断が割れたものは、次のように決めた。
- 問題文に式が全部書いてあれば数えない。2026年の数IIBC第2問の和積の公式と、数IAの外れ値の基準がこれにあたる
- 名前を挙げて式の一部を空欄にしていれば数える。2025年の数IA第1問〔2〕の正弦定理がその例
- 展開、因数分解、有理化のような計算の基本と、内角の和、合同、相似のような図形の基本は数えない。ほぼ全部の問題に出てしまうからだ
- 定理の逆は同じ公式に入れる。円に内接する四角形の性質は、円周角の定理にまとめた
- 二次方程式は、因数分解か平方根で解けるなら解の公式を数えない
- 定積分を計算すれば原始関数も求めるので、整式の不定積分と定積分の計算は両方を数える
この線引きは筆者の判断で、決まった基準があるわけではない。線を動かせば、回数も順位も動く。
必答と選択は分けて数えた。数IAは2年とも全問必答で、数IIBCは第1問から第3問が必答、第4問から第7問は4問のうち3問を選ぶ。単位にすると必答が18、選択が8になる。
必答で2回出た14個
必答の18単位で順位を付けると、1位は同数で14個並んだ。
1位(2回)
- 整式の導関数
- 導関数と増減・極値 の符号の変化を見る
- 整式の不定積分
- 定積分の計算
- 定積分と面積 グラフと軸の囲む部分を定積分で表す
- 三平方の定理
- 方べきの定理
- 円周角の定理 同じ弧に対する円周角は等しい
- 正弦定理
- との三角比
- 三角比と三角関数の定義 単位円の座標でとを読む
- 二次関数の頂点の形
- 四分位範囲 第3四分位数から第1四分位数を引く
- 確率の加法定理 排反なら
14個のうち13個は2026年と2025年の両方に出た。残る三角比と三角関数の定義は、2025年の2冊子に1回ずつ出ただけで、2026年の必答では使っていない。
上から5個は数IIBC第3問に集まっている。配点22は、この冊子でいちばん大きい。第3問は2年とも微分と積分の問題で、1問を解くと5個を一度に使う。
三平方の定理は中学3年で習う。今の学習指導要領の解説によれば、四分位数と箱ひげ図も中学校へ移った。高校の範囲だけを見直すと、この2つは漏れてしまう。
図形と微分積分に集まる
必答の延べ48回のうち、図形の性質と微分・積分の考えの2つで21回を占める。1単位で使う公式の数がそもそも多いからだ。最も多かった2026年の数IA第3問は、1単位で7個を使った。
ただ、公式の数は配点を表さない。二次関数の棒は2回と短いが、2026年の数IA第2問〔1〕は、頂点の形を1つ知っていれば進める問題に15点が付いていた。逆の例もある。数IA第1問〔1〕は2年とも数える公式が1つも無く、配点は10点ずつだった。
2024年の旧課程と並べる
1位が14個も並ぶと、順番を決めにくい。そこで2024年(令和6年度)の本試験も同じ決まりで数えた。旧課程の数学I・数学Aと数学II・数学Bで、選択問題の組み方が違うので、回数は足さずに並べるだけにする。単位は必答が7、選択が6で、延べ33回、31種類だった。
3年とも必答に出たのは7個で、微分積分の5個と、二次関数の頂点の形、四分位範囲である。迷ったらここから、というのが数えた結果から言える順番だろう。
方べきの定理と確率の加法定理は、2024年も出ているが選択問題だった。2024年の数学I・数学Aは第3問から第5問のうち2問を選ぶ形で、全問必答の今とは組み方が違う。正弦定理、三平方の定理、円周角の定理、との三角比は、2024年の問題では使っていない。
1回だけ出た20個
必答の15位は同数で20個あり、どれも1回だった。単元ごとに並べる。
15位(1回)
- 図形と計量 三角形の面積、余弦定理、円の接線の長さ、
- 図形の性質 メネラウスの定理、角の二等分線の定理、重心の内分比、三角錐の体積、直線と平面の垂直
- 場合の数と確率 独立な試行の確率、余事象の確率、確率変数の期待値
- データの分析 相関係数、分散と共分散の定義
- 図形と方程式 円の方程式、2点間の距離、2円の位置関係、不等式の表す領域
- 三角関数 三角関数の加法定理
- 指数関数、対数関数 対数の性質
1回だからといって、出にくいとは読めない。数IIBCの第1問と第2問は、2026年が図形と方程式と三角関数、2025年が三角関数と指数関数、対数関数だった。単元そのものが片方の年にしか出ていないので、図形と方程式の4個も対数の性質も、2回になりにくい。
意外だったのは余弦定理の1回である。正弦定理の2回より少ない。もっとも、差は1回で、問題が1つ変われば入れ替わる程度の差だ。
期待値は課程の変わり目が見える1行だ。2024年は数学II・数学Bの選択問題にあったが、今の課程では数学Aに入り、2025年の数IA第4問に必答で出た。
選択の8単位は別に数える
数IIBCの選択問題は、2年とも第4問が数列、第5問が統計的な推測、第6問がベクトル、第7問が平面上の曲線と複素数平面だった。3問を選ぶので、選ばない問題の公式は順位に関係がない。
1位(2回)
5位(1回)
- 数列 階差数列の一般項、等差数列の和、等比数列の和、平方の和
- 統計的な推測 確率変数の期待値、二項分布の平均、母平均の信頼区間
- ベクトル ベクトルの差、直線のベクトル方程式、内積の定義、内積の成分表示、ベクトルの大きさ
- 平面上の曲線と複素数平面 極形式、ド・モアブルの定理、、楕円の方程式、複素数の偏角と2直線の角、複素数平面の円
自分が選ぶ3問の行だけを読めばよい。統計的な推測を選ぶなら、2回の2個に期待値、二項分布の平均、信頼区間を足した5個が、この2年で使った範囲になる。標本平均の分布は2024年の旧課程にも選択問題で出ている。
と期待値は、必答と選択に1回ずつ出たので、2つの順位の両方に顔を出す。合わせれば2回だ。
0回の6つも範囲に残る
順位に載らない公式も見ておく。2026年と2025年の問題を誘導どおりに解くと、次の6つは必答でも選択でも使わなかった。
- 二次方程式の解の公式
- 三角関数の合成
- 2倍角の公式
- 解と係数の関係
- 点と直線の距離の公式
- 条件付き確率
解の公式が無いのは意外だった。この2年に出た二次方程式は、どれも因数分解か平方根で解ける形だったのである。2024年には数学I・数学A第2問〔1〕と数学II・数学B第1問〔2〕で使っていて、独立な試行の確率と並ぶ最多の2回だった。
では、この6つは飛ばしてよいのか。よくない。6つとも今の学習指導要領の解説に載っていて、解の公式は中学3年、条件付き確率は数学A、残りの4つは数学IIの内容である。範囲から外れたわけではなく、この2年の問題に要らなかっただけだ。
「誘導どおりに解くと」という条件も大きい。2025年の数IA第3問でを求める式は二次方程式になり、因数分解に気づかなければ解の公式の出番になる。2026年の数IIBC第2問は和積の公式で正弦の和を1つにまとめるが、加法定理で展開して合成しても同じ最大値に届く。2025年の数IIBC第1問にはが出てくるものの、をと置く誘導なので2倍角の公式は使わなかった。
条件付き確率も、考え方まで消えたわけではない。2026年の数IA第4問の抽選は、勝ち数が並んだという条件のもとでを掛ける計算になっている。問題が「かつ」の確率として積を示しているので、筆者は数えなかった。
つまり0回は、筆者の線引きと誘導どおりの解き方で数えた結果にすぎない。「やらなくてよい」という意味でも、「14個より後でよい」という意味でもない。
数字から言えること、言えないこと
言えるのは、この2年の本試験について次のことまでだ。必答で延べ48回使った公式のうち、1位の14個で28回を占める。14個を全部覚えても、残り20回は1回だけの公式で、4割ほどが残る。
問題文に式が書いてある出題が、数えた3年のどれにもあった。2026年の数IIBC第2問は和積の公式を問題文に示して導かせ、空欄で問うのは加法定理のほうだった。和積の公式を暗記していなくても、角を置き換えれば導ける。そこで要るのは暗記より、とに何を入れるかを決める手つきだ。
言えないのは、来年どの公式が出るかである。2年分の数では、たまたまの差と傾向を区別できない。1回と2回の差は特に小さい。公式を覚えれば何点取れるのかも、この数からは分からない。公式なしで10点の問題がある以上、公式の暗記だけで届かない部分は確かにある。
筆者が本試験までの使い方を決めるなら、3年とも必答の7個から確認し、残りの7個、1回の20個、選ぶ3問の順に広げる。0回の6つはこの順番の外に置き、最初に白紙へ書くときに一緒に確認する。これは数えた結果を素直に並べた順番で、出題の予想ではない。
最初の1日は白紙へ書く
手を動かすなら、次の順番がよい。
- 1位の14個と0回の6つを、見ずに白紙へ書く
- 書けなかった公式に印を付け、教科書か公式の記事で確認する
- レベル別の例題で、印を付けた公式を使う問題を解く
- 2026年か2025年の本試験を時間を計って解き、使った公式を自分で数える
- 下の記録と比べる。別の解き方なら数は変わってよく、違った公式を調べ直す
記号の読み方でつまずいたら、次の読みものが近い。
白紙に書けなかった数が、次に開くページの数になる。
数え上げの記録
問題文は載せない。問題は参考文献の大学入試センターのページで読める。
2026年 本試験(令和8年度)
- 数IA第1問〔1〕:数える公式なし
- 数IA第1問〔2〕:三角形の面積、との三角比、円の接線の長さ、正弦定理
- 数IA第2問〔1〕:二次関数の頂点の形
- 数IA第2問〔2〕:相関係数、四分位範囲
- 数IA第3問:角の二等分線の定理、三平方の定理、円周角の定理、方べきの定理、メネラウスの定理、重心の内分比、三角錐の体積
- 数IA第4問:独立な試行の確率、確率の加法定理
- 数IIBC第1問:円の方程式、2点間の距離、2円の位置関係、不等式の表す領域
- 数IIBC第2問:三角関数の加法定理
- 数IIBC第3問:整式の導関数、導関数と増減・極値、整式の不定積分、定積分の計算、定積分と面積
- 数IIBC第4問(選択):階差数列の一般項、自然数の和
- 数IIBC第5問(選択):確率変数の期待値、正規分布の標準化、標本平均の分布
- 数IIBC第6問(選択):ベクトルの差、直線のベクトル方程式
- 数IIBC第7問(選択):共役複素数と絶対値、極形式、ド・モアブルの定理、、楕円の方程式
2025年 本試験(令和7年度)
- 数IA第1問〔1〕:数える公式なし
- 数IA第1問〔2〕:三角比と三角関数の定義、正弦定理、余弦定理、
- 数IA第2問〔1〕:二次関数の頂点の形
- 数IA第2問〔2〕:四分位範囲、分散と共分散の定義
- 数IA第3問:円周角の定理、方べきの定理、三平方の定理、直線と平面の垂直
- 数IA第4問:確率の加法定理、余事象の確率、確率変数の期待値
- 数IIBC第1問:三角比と三角関数の定義、との三角比
- 数IIBC第2問:対数の性質
- 数IIBC第3問:整式の導関数、導関数と増減・極値、整式の不定積分、定積分の計算、定積分と面積
- 数IIBC第4問(選択):等差数列の和、等比数列の和、自然数の和、平方の和
- 数IIBC第5問(選択):正規分布の標準化、二項分布の平均、標本平均の分布、母平均の信頼区間
- 数IIBC第6問(選択):内積の定義、内積の成分表示、ベクトルの大きさ
- 数IIBC第7問(選択):共役複素数と絶対値、複素数の偏角と2直線の角、複素数平面の円
2024年 本試験(令和6年度・旧課程)
- 数学I・数学A第1問〔1〕:数える公式なし
- 数学I・数学A第1問〔2〕:三角比と三角関数の定義
- 数学I・数学A第2問〔1〕:二次関数の頂点の形、二次方程式の解の公式
- 数学I・数学A第2問〔2〕:四分位範囲
- 数学I・数学A第3問(選択):独立な試行の確率、確率の加法定理
- 数学I・数学A第4問(選択):n進法の変換、最小公倍数、1次不定方程式
- 数学I・数学A第5問(選択):メネラウスの定理、方べきの定理
- 数学II・数学B第1問〔1〕:対数の性質、不等式の表す領域
- 数学II・数学B第1問〔2〕:二次方程式の解の公式、整式の除法の等式、剰余の定理
- 数学II・数学B第2問:整式の導関数、導関数と増減・極値、整式の不定積分、定積分の計算、定積分と面積
- 数学II・数学B第3問(選択):確率変数の期待値、標本平均の分布、母平均の信頼区間、独立な試行の確率
- 数学II・数学B第4問(選択):等差数列の一般項、等比数列の一般項、2項間漸化式
- 数学II・数学B第5問(選択):ベクトルの差、内積の成分表示、内積の定義、ベクトルの大きさ、直線のベクトル方程式
参考文献
- 大学入試センター「過去3年分の試験問題」(2026年11月1日確認)
- 大学入試センター「令和8年度 本試験の問題」と「令和8年度 本試験の正解」
- 大学入試センター「令和7年度 本試験の問題」と「令和7年度 本試験の正解」
- 大学入試センター「令和6年度 本試験の問題」と「令和6年度 本試験の正解」
- 大学入試センター「令和9年度試験」。実施期日(本試験は令和9年1月16日と17日)
- 文部科学省『高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 数学編 理数編』。単元の名前、四分位数と箱ひげ図の中学校への移行、数学Aの期待値、0回の6つの範囲
- 回数と順位は筆者が問題を解いて数えた結果で、大学入試センターの集計ではない
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この記事は、人が監修しながらAIを活用して執筆した。執筆・監修: 佐々木 航(株式会社Game)。