7番目は平方数で立方数
64は8の2乗で、4の3乗でもある。1に2を掛けていくと、1, 2, 4, 8, 16, 32, 64と並び、その7番目に出てくる数だ。偶然ではない。1から始めて同じ自然数を掛け続けると、何を選んでも7番目は平方数で、しかも立方数になる。
紀元前300年ごろのエウクレイデス『原論』は、第9巻の命題8でこの事実を述べている。単位1から始めて連比をなす数を並べると、1から数えて3番目は平方数、4番目は立方数、7番目は平方数でも立方数でもある。クラーク大学のジョイスの英訳で読むと、証明は「Aに自分自身を掛けるとBになる」のような掛け算の言葉だけで進み、指数の記号は出てこない。今の記号で書けば、7番目はだ。
つまり、1を1番目と数えると、7番目までにを掛けた回数は6回で、番号より1つ少ない。一般項の肩にあるは、この数え方から来ている。
rを何回掛けたか
等比数列は、どの項にも同じ数を掛けると次の項になる数列である。初項を、掛ける数をとする。このが公比で、負の数でも分数でもよい。
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次の項は前の項に公比を掛けたもの
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, 2と順に当てはめる
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第項までに掛けたを並べる
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同じ数の積を累乗にまとめる
項と項の移り変わりは、第1項から第項までに回しかない。でもなので、式は初項に戻る。同じ数え方で、途中の項どうしもつなげられる。
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第項から第項まで()は回掛ける
手順5が効くのは、初項が分からないときだ。第3項が12、第6項が−96なら、からとなる。実数の3乗根は1つしかないので、に決まる。ところが、間が2回のときは事情が変わる。第2項が12、第4項が27ならで、との2つの数列がどちらも条件を満たす。
並び方は、公比の符号と大きさで決まる。なら符号が1つおきに入れ替わり、絶対値は倍々に増える。なら同じ符号のまま半分ずつ縮み、なら符号を入れ替えながら縮む。の符号はの偶奇で決まるから、の数列では、奇数番目の項が初項と同じ符号をもつ。縮み続けた先にどこへ近づくかは、無限等比数列の極限で確かめられる。
では、並んだ3つの数のうち、真ん中だけが分からないときはどうするか。記号を改め、この順に等比数列をなす3つの数を, , 、公比をとする。
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隣どうしの関係を書く
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の両辺にを掛ける
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をに置き換える
このを、との等比中項という。エウクレイデスは『原論』第6巻の命題13で、2つの線分の比例中項を半円で作図している。長さとして作れば6だけが出るが、数の列ではでもかまわない。4, −6, 9は公比の等比数列だ。からの両方を残すのは、このためである。が負なら、実数の等比中項はない。
逆に、なら等比数列といえるのだろうか。かつなら、とおくととなり、言える。ところが0を含むと崩れる。0, 0, 5はを満たすのに、0に何を掛けても5にはならない。を等比数列の条件として逆向きに使えるのは、3つの数がどれも0でないと分かっているときだ。
2倍を超える年、1%を切る日
複利で預けたお金の残高は、年ごとに等比数列をなす。100万円を年利3%の複利で預けると、1年後は万円、年後は万円になる。初めの100万円を第1項と数えると、年後の残高は第項だ。年数と番号が1つずれるのは、一般項のと同じ理由による。
では、初めて元の2倍を超えるのは何年後か。の両辺の常用対数をとると、となる。、を使えばで、答えは24年後だ。実際に、である。累乗を掛け算に直す一歩は、対数の法則のによる。
減っていく量も、同じ形で数えられる。半減期ごとに数えると、放射性の原子が残る割合は1, , , …と公比の等比数列をなし、半減期の倍の時間がたつと初めのに減る。初めの1%を下回るのはのときで、常用対数をとると。負の数で割るので不等号の向きが変わり、となる。半減期のおよそ6.6倍の時間がたつと、1%を下回る。この向きの入れ替えは、減る量を扱う問題で見落としやすい。連続した時間で書いた式は放射性崩壊で読める。
番号ごとの値ではなく、ある項までの合計がほしいなら、等比級数の和の公式を使う。
公比の符号を見きわめる
例題 1基本公比を3乗と2乗から決める
(1)第2項が6、第5項が−48である等比数列の一般項を求めよ。また、192と−192のうち、この数列の項であるものは第何項か。(2)第2項が12、第4項が27である実数の等比数列の、初項と公比を求めよ。
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(1)第2項から第5項までは公比を3回掛けるので、、となる。実数の3乗根は1つで、。初項はなので、一般項は次のようになる。
とすると。で、指数6は偶数だからは正になり、これを満たすはない。ならからで、第7項である。
(2)第2項から第4項までは2回掛けるので、、となる。なら初項はで、8, 12, 18, 27, …と並ぶ。なら初項は−8で、−8, 12, −18, 27, …となる。どちらも条件を満たすので、答えは2組ある。
例題 2基本等比中項を求める
(1)2, , 18がこの順に等比数列をなすとき、を求めよ。(2), , がこの順に等比数列をなすとき、と公比を求めよ。
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(1)より、または。2, 6, 18は公比3、2, −6, 18は公比−3の等比数列である。
(2)を展開するととなり、から。3つの数は3, 6, 12で、どれも0でないから等比数列といえ、公比は2である。
例題 3入試薬品が1%を切る日
ある水そうに入れた薬品の量は、1日ごとに前の日の0.8倍に減る。初めの量の1%未満になるのは何日後か。とする。
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日後の量は初めの倍なので、を満たす最小のを求める。まず。両辺の常用対数をとる。
負の数で割るので不等号の向きが変わり、。よって21日後である。、で、20日後はまだ1%を超えている。
例題 4入試等差と等比を並べ替える
異なる3つの実数, , は、この順に等差数列をなし、, , の順に等比数列をなす。のとき、, , を求めよ。
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等差数列なので。和の条件に入れるとで、、となる。
, , の順の等比数列では、真ん中のが等比中項なので。ここにを代入する。
ならで、3つの数が異ならない。ならとなり、。−4, 2, 8は公差6の等差数列、8, −4, 2は公比の等比数列で、どちらの条件も満たす。
池の水草と1.32倍
- 2025年 大学入学共通テスト 本試験 数学II・数学B・数学C第2問:数学IIの大問で、指数関数と対数関数を扱う。数列という言葉は出てこないが、池の水草が1日ごとに一定の倍率で増えると考えるので、日ごとの量は公比の等比数列になる。3日おきの観測からを選び、作業の後に残す量が14日目にちょうど60%になる式をで立てて、常用対数で解く。番号の差を日数に置き換えれば、手順5のそのものだ。問題の全文は大学入試センター「令和7年度 本試験の問題」で読める。
参考文献
- 文部科学省『高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 数学編 理数編』(2018)、第1部 第2章 第5節「数学B」3(1)数列、102-103ページ。第2節「数学II」3(3)指数関数・対数関数、60ページ
- D. E. Joyce, "Euclid's Elements, Book IX, Proposition 8", Clark University
- D. E. Joyce, "Euclid's Elements, Book VI, Proposition 13", Clark University
- 大学入試センター「令和7年度 大学入学共通テスト 本試験 数学II・数学B・数学C」