しずくの間が10秒になるまで
年に6.1%ずつ減るなら、27年で6.1×27=164.7%減る。この足し算に従えば、ドイツの自然保護区に置いた罠から、飛ぶ昆虫は2005年ごろに消えていたはずだ。ところが論文の見積もりでは、2016年の真夏にも、重さは1989年の5分の1ほど残っていた。
毎年減るのは、最初の量ではなく、その年に残っている量の6.1%だからである。1年ごとに0.939を掛けて27回重ねると、残りは18%になる。オランダ、ラドバウド大学のカスパー・ハルマンらは2017年10月18日、学術誌『PLOS ONE』にこの減り方を報告した。重さは27年で、真夏に81.6%、季節全体でも76.7%減っていた。
数字のもとは、アルコールに浸かった虫の瓶である。
瓶の中身を、直径10 cm、目の幅0.8 mmのステンレス製のふるいにあける。ふるいは30度ほど傾けてガラスの器の上に置き、落ちるしずくをストップウォッチで見張る。しずくとしずくの間が初めて10秒になったところで、はかりに載せる。論文が手法の節に書いている、クレーフェルト昆虫学会の量り方だ。

虫を乾かさず、アルコールでぬれたまま量るのには理由がある。あとで種まで調べられるよう、標本を傷めずに残すためだ。量る作業を始めるたびに、0.1 gまで読めるはかりを検定用の分銅で確かめた。同じ4つの試料を84回量り直すと、平均からのずれは0.4%だったという。
1989年から2016年までに、こうして量った瓶は1,503本、合わせて53.54 kgになった。論文は、その中に数百万匹の虫が入っているとみている。
この瓶の山から、年6.1%という1つの数はどう出てきたのか。
63か所の罠を1本の式に束ねる
クレーフェルト昆虫学会は、1905年にドイツ西部の都市クレーフェルトで生まれた。学会の案内によると、会員は地元にすむ昆虫の分類や分布、暮らし方を調べてきた。集めた標本と記録は、寄贈や遺贈でクレーフェルト市に託され、市内で保管されている。

学会は1982年から、罠の形を1つにそろえてきた。ヘンリー・タウンズが1972年に発表した軽いマレーズ・トラップをもとに、裁ち方まで決めた型である。マレーズ・トラップそのものは、マレーズが1937年に示したテント形の網の罠だ。飛んできた虫は網の壁に当たって上へ登り、いちばん高いところの瓶に入る。

2017年の論文によると、罠は部品と大きさから、色、網の種類、地面との隙間のふさぎ方、置く向き、地面の傾きまでそろえてあった。罠は春から秋まで昼も夜も開けておき、瓶は平均11.2日ごとに取り替えた。
学会は、ノルトライン・ヴェストファーレン州を中心とする63か所の自然保護区に罠を置いた。同じ場所で毎年捕れば、その場所の減り方をじかに読めるが、捕ること自体が保護区の虫を減らしかねない。そのため37か所は1年だけで、2年以上量ったのは26か所にとどまる。場所と年の組み合わせは96通りあった。学会の会員4人は2013年、オルブロイヒャー・ブルフ保護区で1989年と2013年の重さを比べ、学会の紀要に報告している。

記録の解析は、ラドバウド大学のハルマンが受け持ち、同じ大学のエールケ・ヨンゲヤンスやハンス・デ・クローンらが加わった。共著者には、学会の会員6人と英国サセックス大学のデイブ・グールソンも名を連ねる。
瓶ごとに、罠を開けていた日数は違う。そこでハルマンらは、観測できない1日ごとの重さを日付ごとに置き、瓶の重さはその日数分の和だとした。たとえば12日間開けていた瓶なら、12日分の和になる。瓶の重さの対数をそのまま使わなかったのは、日数が違う瓶を比べるには、対数をとる前の重さを足す必要があるからだ。1日ごとの重さの対数は、季節の山を表す日付の2次式と、年が1つ進むごとにずつ変わる項などの和で書き、山の形も年とともに変われるよう、年と日付を掛けた項も入れた。推定した傾きはで、その標準偏差は0.002だった。年6.1%の減少にあたる。
この傾きが、ほかの理由で説明できないかも調べている。天気は罠から100 km以内にある169か所の観測所から、土地の使い方は罠を囲む半径200 mを写した航空写真から、植物は罠から50 m以内の調査から読み、説明変数に加えていく。しかし、どれを加えても、傾きは−0.058から−0.064の間にとどまった。すべてをまとめた最終モデルでは−0.081とむしろ急になり、年の項を0にすると、虫は横ばいか、約8%増える計算になった。つまり、天気や土地の使い方、植物の変化だけなら、虫は減っていなかったことになる。
論文は「虫の重さが広く減っていることは憂慮すべきで、罠がすべて生態系の働きと生物多様性を守るための保護区に置かれていたことを思えば、なおさらだ」と書く。原因は、まだ分かっていない。罠の94%は畑に囲まれていて、論文は、解析に入れられなかった農薬や施肥などの農業の集約化を、ありうる原因に挙げている。
では、年6.1%は27年でなぜ82%になり、季節全体ではなぜ76.7%に縮むのか。
毎年、残りの6.1%を引く
季節の真ん中にあたる日の重さを、1989年から年後の値で表す。毎年、前の年の重さのうち一定の割合だけが残るとおく。
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1年進むごとにを掛ける
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これを回くり返す
1989年の100から毎年残りの6.1%を引くと、93.9、88.2、82.8と減る。引く量は6.1、5.7、5.4と、年ごとに小さくなる。 -
と書き直す
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両辺の自然対数をとる
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推定値から、1年で減る割合を出す
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27年で減る割合を出す
4から、縦軸に重さの対数をとれば、27年の記録は傾き−0.063の直線に並ぶことが分かる。論文が「年の傾きの係数」と呼ぶ−0.063はこの直線の傾きで、年6.1%は5のから出る。2つの数はよく似ているが、同じではない。時間を連続にすれば、3の式はの解であり、崩壊定数を0.063にした放射性崩壊の式と同じ形になる。
ここまでは、季節の1点の話だ。
季節全体の重さは、日ごとの重さを足して出す。日の重さが毎年倍になるとし、1989年の日の重さを、季節の合計をとする。
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27年後の季節の合計を、1989年の合計で割る
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の和は1なので、どの日もなら
季節を春、夏、秋に分け、1989年の重さの割合を25%、50%、25%とする。27年後に残る割合が30%、18%、30%なら、季節全体に残るのは重みつきの平均の24%で、いちばん小さい18%より大きい。
7の右辺は、日ごとに残る割合を、1989年の重さで重みをつけて平均したものである。虫の多い真夏ほど、重みは大きい。論文の基本モデルには年と日付を掛けた項が入っていて、季節の初めと終わりほど減り方がゆるやかになり、真夏がいちばん速く減る。平均は、いちばん小さい値より小さくはなれない。だから季節全体の減り方は真夏の82%に届かず、76.7%にとどまった。
82%と76.7%は、同じ27年を季節の1点で見るか、季節全体で見るかの違いである。
0.063から11年と82%を手で出す
使うのは、数学IIの指数関数と対数関数に、数学IIIで習う自然対数を足したものである。はを底とする自然対数で、を使う。
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1年で残る割合を出す
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1年で減る割合に直す
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27年分の指数をまとめる
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27年で減る割合に直す
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から半減期を解く
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27年が半減期の何回分かを数える
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季節全体の76.7%減を傾きに直す
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傾き0.054を年率と半減期に直す
年率を27倍する足し算では、16.4年で100%に届き、1989年から数えて2005年に罠は空になる。一方、掛け算では、11年で半分、22年で4分の1と、半減期ごとに半分になり続け、0にはならない。なお、小数第3位で丸めた係数から出した81.7%は、論文の81.6%とほぼ一致する。
季節全体の値で考えると、年率は5.3%、半減期は13年ほどに延びる。
減る速さを年率でそろえる
年6.1%は速いのか。減った割合だけを並べても、期間が違えば速さは比べられない。そこで、どの記録も証明の4の傾きに直してから、年率と半減期を出してそろえた。年率と半減期は、各記録の減った割合と期間から当サイトで計算した。
| 記録 | 期間 | 減った割合 | 年率 | 半減期 |
|---|---|---|---|---|
| クレーフェルトの罠(真夏) | 1989〜2016年 | 81.6% | 6.1% | 11年 |
| クレーフェルトの罠(季節全体) | 1989〜2016年 | 76.7% | 5.3% | 13年 |
| ドイツの草地の節足動物 | 2008〜2017年 | 67% | 11.6% | 5.6年 |
| 絶滅危惧IB類の目安 | 10年 | 50% | 6.7% | 10年 |
| 絶滅危惧II類の目安 | 10年 | 30% | 3.5% | 19年 |
草地の行は、セバスティアン・ザイボルトらが2019年に『ネイチャー』で報告した値である。ドイツの3地域で2008年から2017年まで節足動物を調べ、毎年調べた草地では重さが67%減っていた。毎年調べた森の30か所でも、重さは41%減っている。下の2行は、環境省がレッドリストの判定に使う基準A(個体群の減少)を、同省の資料で年率に直したものだ。
意外なのは、クレーフェルトの真夏の減り方が、絶滅危惧IB類の目安である「10年で半分」とほぼ同じ速さだったことだ。半減期にすると、11年と10年。もっとも、レッドリストの基準は種ごとの数についての決まりで、虫の重さの合計に当てはめるものではない。
日本にも、同じ換算で虫の減り方を読んでいる調査がある。環境省の生物多様性センターと日本自然保護協会は、全国325か所の里地里山で、約5,700人の市民調査員とチョウや鳥を数える「モニタリングサイト1000里地調査」を続けている。2024年10月1日に公表した2005〜2022年度のまとめでは、よく記録されるチョウ103種のうち33%の種で、記録された個体数が「10年あたり30%=1年あたり3.5%」の減少率に当たるほど急に減っていた。ただ、調査地に限った結果なので、これだけで全国のレッドリストの区分は決められないと、資料に断り書きがある。
罠1つにかかる虫は、どれほどの量なのか。ドイツ連邦自然保護庁とクレーフェルト昆虫学会などの研究者がまとめた手引きによると、1年に捕れるのは、アルコールを切った重さで0.2〜1.5 kgほど。若い鳥1羽がひと夏に食べる虫の量に近いという。クレーフェルトの記録では、罠を開けていた日数が延べ16,908日あり、53.54 kgをこれで割ると1日あたり約3.2 gになる。
残る割合と半分になる年数を出す
例題 1基本残る重さを10年先まで
飛ぶ昆虫の重さが、毎年、前の年の6.1%ずつ減るとする。10年後には、はじめの重さの何%が残るか。、とする。
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10年後に残る割合をとするとで、両辺の常用対数をとる。
なので、である。約53.3%が残り、10年で約47%減る。
例題 2基本傾きから半減期を出す
(1)重さの対数の傾きが年のとき、重さが半分になるのは何年後か。
(2)2年以上量った26か所で、場所ごとに直線を当てはめた傾きの平均はだった。この傾きで半分になるのは何年後か。(1)と何年違うか。
とする。
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(1)の両辺の自然対数をとるとである。
11.0年後である。
(2)同じように解く。
13.1年後で、(1)より約2.1年遅い。
例題 3入試年率に直す(10年で30%減)
(1)10年で30%減る量が、毎年同じ割合で減っているとする。1年で何%減っているか。、とする。
(2)年6.1%ずつ減る量は、10年で何%減るか。例題1の結果を使い、10年で30%と10年で50%のどちらに近いか答えよ。
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(1)1年で残る割合をとすると、である。両辺の常用対数をとる。
なので、1年で約3.5%減っている。
(2)例題1から、10年で残るのは約53.3%で、減るのは約46.7%である。10年で50%のほうに近い。
例題 4入試季節の重みつきの平均
季節を春、夏、秋に分ける。1989年の重さが季節全体に占める割合は、春20%、夏60%、秋20%だった。27年後に残る割合は、春35%、夏18%、秋35%だった。
(1)季節の合計では、何%減ったか。
(2)季節のどこでも18%が残るなら、季節の合計は何%減るか。(1)との違いの理由を説明せよ。
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(1)季節の合計に残る割合は、各季節に残る割合を、1989年の割合で重みをつけて平均したものになる。
24.8%が残るので、75.2%減った。
(2)どの季節も18%が残るなら、合計も18%が残り、82%減る。(1)では、春と秋の残る割合が夏より大きい。重みつきの平均は、いちばん小さい値の18%より大きくなるので、減り方は82%より小さくなる。
例題 5大学ガウス形の季節の山
季節の真ん中から測った日付を標準化してとし、年での1日あたりの重さを次の式で表す(、)。
(1)日付で、の年あたりの傾きを求めよ。減り方がいちばん速いのはどこか。
(2)季節の合計をとするとき、比を求めよ。()を使ってよい。
(3)、、のとき、季節の合計は何%減るか。とする。
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(1)をで微分する。
なので、傾きはで最小のになる。減り方は季節の真ん中がいちばん速い。
(2)与えられた積分を使う。
比をとると、とが消える。
(3)で、である。
季節の合計は約77%減る。真夏だけなら81.7%減で、山が平たくなる分だけ合計の減り方が小さい。この問題の数値は説明のために選んだもので、論文の係数ではない。
足し算の直線と、掛け算の曲線
直線と曲線は、最初の数年ではほとんど重なる。差が開いていくのは、残りが減るにつれて、引く量そのものが小さくなるからだ。
2016年の山は高さが5分の1ほどに縮む一方、すその縮み方は小さい。季節全体が真夏ほど減らない理由は、この形の違いにある。
季節の山を27年縮める
年のつまみが1989年から2016年まで自動で進み、季節の山が年ごとに縮んでいく。破線は、いまの減り方で2016年に行き着く山である。減る速さのつまみを動かすと、27年後に真夏と季節全体に残る割合が変わり、読み出しに半減期が出る。減り方を「季節のどこでも同じ」にすると、山は形を保ったまま縮み、2つの割合は一致する。「真夏ほど速い」の形は、で季節全体が論文の76.7%減になるように置いた近似である。
鳥の餌、花の受粉、天気の記録
- 生物学 虫を餌にする鳥や両生類がどう増減するかを読むとき、餌が減る速さを個体数の式に入れる。ハルマンらは序論で、鳥の6割が虫を餌にしているという見積もりを引いている。ロトカ・ヴォルテラ方程式では、食べられる側の増える率が下がると、食べる側の平均の数も同じ割合で下がる。
- 農学 畑や草地が広いと虫の減り方が変わるかを調べるとき、年の傾きに土地の割合を掛けた項を足す。ハルマンらは、年の傾きを(罠のまわり200 mの土地の割合)の形に広げたモデルも試した。草地が多い罠ほど減り方が速く、畑や森が多い罠ほどゆるやかで、最終モデルには草地の項が残った。
- 地球科学 観測所で測った天気を、観測所が無い罠の場所へ移すとき、時空間のクリギングで補間する。ハルマンらは、毎日の気温や降水量、風速を、長期の傾きと平均的な季節変化、その年ならではの偏りに分けてから、罠がある場所の値を求めた。27年の間に平均気温は0.5 °C上がったが、気温が高い日ほど捕れる虫の重さは大きく、減少の説明にはならなかった。
- 経済学 虫が担う生態系サービスの価値を見積もるとき、その働きをお金に換算する。ハルマンらは序論で、野生の植物の8割が受粉を虫に頼るという見積もりと、米国の野生の虫による生態系サービスを年570億ドルとする見積もりを引いている。価値が虫の重さに比例すると仮に置けば、年6.1%の減少は、価値を毎年倍に割り引くのと同じ形になる。
天気で読み直し、罠をそろえ直す
- 2023年 ヴュルツブルク大学のイェルク・ミュラーら(チューリッヒ大学、ミュンヘン工科大学など): 2022年の春に虫が目立って多いことに気づき、その年の重さを調べると、平均でハルマンらが記録した最大の値に近かった。そこでハルマンらの27年分を、採集した日々の天気と、卵から成虫までの各時期に天気が平年からどれだけずれたかで読み直すと、減少も近年の増加も、天気の変数だけで説明できたという。式で言えば、年ごとに一定の傾きで下がる項を置かず、天気の項を足したでを上下させたことになる。ミュラーはドレスデン工科大学の発表で「2005年に劇的な落ち込みがあり、その後の年は回復しなかった」と語っている。(出典: Müllerほか「Weather explains the decline and rise of insect biomass over 34 years」Nature 628(2024), 349-354・ドレスデン工科大学「Wichtiger zusätzlicher Treiber des Insektensterbens identifiziert」2023年9月27日)
- 2021年 ラドバウド大学、ドイツ連邦自然保護庁、クレーフェルト昆虫学会のハルマンら: 1989年と2014年に、ドイツの保護区6か所で捕ったハナアブ162種、19,604匹の記録を解析した。ハナアブ全体の数は、虫の重さ全体と同じ割合で減っていた。種の数が減る割合は数える単位で違い、季節全体で数えると23%、1日ごとに数えると82%だった。重さと数が同じ割合で減るとは、との年の傾きが等しく、が年によらないことを言う。(出典: Hallmannほか「Insect biomass decline scaled to species diversity」PNAS 118(2021), e2002554117)
- 2022年 ヨハネス・ウーラー、イェルク・ミュラーらの研究チーム: タウンズ型3種類とバルタク型2種類、合わせて5種類のマレーズ・トラップを並べて比べ、捕れる虫の重さが型によって20〜55%違うことを示した。違いは罠の大きさの順に並ぶとは限らず、型によって変わった。罠の型で捕れる割合が決まるなら、量った重さはで、は直線の切片を動かすだけで傾きは変えない。同じ型をそろえ続ける限り年の傾きは比べられるが、途中で型を替えるとの段差が傾きに混じる。著者らは、型ごとの違いの見積もりを、研究どうしの結果をそろえるのに使えるとしている。(出典: Uhlerほか「A comparison of different Malaise trap types」Insect Conservation and Diversity 15(2022), 666-672)
参考文献
- C. A. Hallmann, M. Sorg, E. Jongejans, H. Siepel, N. Hofland, H. Schwan, W. Stenmans, A. Müller, H. Sumser, T. Hörren, D. Goulson, H. de Kroon, "More than 75 percent decline over 27 years in total flying insect biomass in protected areas", PLOS ONE 12 (2017), e0185809(2017年10月18日公開).
- M. Sorg, H. Schwan, W. Stenmans, A. Müller, "Ermittlung der Biomassen flugaktiver Insekten im Naturschutzgebiet Orbroicher Bruch mit Malaise Fallen in den Jahren 1989 und 2013", Mitteilungen aus dem Entomologischen Verein Krefeld 2013 (1), 1-5; A. Ssymank, M. Sorg, D. Doczkal, B. Rulik, G. Merkel-Wallner, M. Vischer-Leopold, "Praktische Hinweise und Empfehlungen zur Anwendung von Malaisefallen für Insekten in der Biodiversitätserfassung und im Monitoring", Series Naturalis 1 (2018), 1-12; Entomologischer Verein Krefeld(entomologica.org、2026年10月31日確認).
- H. Townes, "A light-weight Malaise trap", Entomological News 83 (1972), 239-247; R. Malaise, "A new insect trap", Entomologisk Tidskrift 58 (1937), 148-160.
- J. Müller, T. Hothorn, Y. Yuan, S. Seibold, O. Mitesser, J. Rothacher, J. Freund, C. Wild, M. Wolz, A. Menzel, "Weather explains the decline and rise of insect biomass over 34 years", Nature 628 (2024), 349-354(2023年9月27日公開); TU Dresden, "Wichtiger zusätzlicher Treiber des Insektensterbens identifiziert"(2023年9月27日).
- C. A. Hallmann, A. Ssymank, M. Sorg, H. de Kroon, E. Jongejans, "Insect biomass decline scaled to species diversity: General patterns derived from a hoverfly community", Proceedings of the National Academy of Sciences 118 (2021), e2002554117; J. Uhler et al., "A comparison of different Malaise trap types", Insect Conservation and Diversity 15 (2022), 666-672.
- S. Seibold et al., "Arthropod decline in grasslands and forests is associated with landscape-level drivers", Nature 574 (2019), 671-674.
- 環境省自然環境局自然環境計画課 生物多様性センター、モニタリングサイト1000里地調査事務局(公益財団法人日本自然保護協会)「モニタリングサイト1000里地調査 2005-2022年度とりまとめ報告書の概要」(2024年10月1日).